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2017年6月 4日 (日)

ランス美術館展(損保ジャパン日本興亜美術館)

1300円とここにしちゃ強気だお。何があるのかな。フランス絵画らしいが。

入ったら17世紀から概ね年代順。目に付いたのはまずヨルダーンス(と思われる)……伝ヨルダーンスかい。それの「サテュロス」。酒の神バッカスの従者だって。ナイスな赤ら顔だぜ。昼に見てもヨルダーンス。それからジャック・マルモッテ「レダ」あー、あのギリシャ神話のね。ゼウスの白鳥はいるが、レダを押し倒しているシーンではないのでイマイチ盛り上がりに欠けるな。最初の目玉がダヴィッド(および工房)の「マラーの死」。え、これ有名なヤツじゃん。新古典主義のダヴィッドのね、リアルな筋肉男の魅力満載……まあ死んでんだけど。ドラクロワがあるがうーむイマイチだ……っていうかドラクロワのイイヤツはそれだけで客呼べるしな。こないだ見たシャセリオーがある。「とらわれの女」とらわれてんだから裸だ。背景は屋外だ。しかしなんだね、とらわれて裸にされてる女の絵をそこらの人が普通に美術品として鑑賞してんだからおもしれーな。シャルル・ランデル「タンジールのユダヤ人の女」うん美女だ。エデュアール・デュビュッフ「ルイ・ポメリー婦人」シャンパンの、あのポメリーの人か。オレは好きだよポメリー……もう何年も飲んでないが。ええ有名どころでコロー……並。ミレー……小さいな。ドーミエ……こないだ練馬で風刺版画を見た。こっちは「画家」という暗い油彩。クールベさん……並。ううむ、一応名が知られている人が多いけど、なんかズガッとくるヤツはないのか?

印象派あたりになってきて、シスレー……普通。ラファエリ「シャンゼリゼ」おー、これはなかなかですね。人がいっぱいで。次のピサロの「オペラ座通り、テアトルフランセ広場」も、ちょと見下ろした感じがイケますね。ファンタン・ラトゥール「まどろむニンフ」おお、ボヤボヤ画面だけどそれがよいな。ヴュイヤール「試着」作品は小さいがナビ派の人でナビ派な感じだ。ゴーギャン「バラと彫像」地味だな。ドニ「魅せられた人々」これは色がちょっとトチ狂っているところがいいね。ヨーゼフ・シマ「ロジェ・ジルベール=ルコント」人物画だが体が妙な影になっている感じがシュールの人。……って、ここまでまだ半分ぐらいで、もうこんな時代まで来たのか? 残りは現代美術か? ……と思いきや。ここまでは前菜で、実はメインがこれからなんだな。

藤田嗣治が洗礼を受けてレオナール・フジタになった場所が、実はこのランスなんだって。「平和の聖母礼拝堂」という教会があって、そこにフレスコ画を描いたのです。なもんで、フジタのコレクションが充実。展示の残りは全部フジタだお。ここのだけじゃなくて他の美術館からもフジタを持ってきて展示している。まず油彩いろいろ。「ヴァイオリンを持つこども」ほほーおんにゃの子かと思ったら男子だと。注文制作らしい。「猫」猫イパーイ。やっぱフジタの猫はいいですな。なんか顔が気高いですな。「授乳の聖母」この顔立ちは日本人じゃねえな(当たり前だが)、いやつまり、日本のセンスじゃないなってことで。やっぱフジタだ。「十字架降下」キリスト教絵画でありながら金箔なぞ使った和風。でも油彩か。おもしろい。「マドンナ」これはいいぞ……ってあとで見たらチラシにもなってた。聖母が黒人だ。モデルはアフリカ系アメリカ人の女優らしい。周りのケルビム(天使)も黒人の子供。なんとまあ斬新な(まあキリストは白人じゃなかった説もあるようだが)。

「平和の聖母礼拝堂」のフジタのフレスコ画を写真パネルで紹介。「七つの大罪」なんか見ると日本の武者絵とかああいうセンス……ありゃ、さっき日本のセンスじゃねえとか書いたが、やっぱし日本的を感じちゃうなあ。パネルのあと、いよいよそのための素描群を展示。これがなかなか。素描でもイイって作品は多くはないが、これはイイね。デカいし。「聖ベアトリクス」なんて最終的にステンドグラスになるんだけど、ガラスを支える太線を追加してるんで、実は素描が一番描きたいものが描かれている感じだ。「信徒たちと子ども」は何となく仏教画的構成だ。「七つの大罪」の素描もあるが。これも素描の方が描きたい欲を感じる。しかし暴飲暴食にせよ性的なものにせよ、罪としての欲望を描くためでも、よりよく描くためにはその欲望を十分抱え込まなきゃいけないアンビバレントなんだが(つまり聖人君子じゃ欲望の絵は描けんだろ)。画家は結構普通にそれやってるんだよね。画家ってなんだかんだ聖人じゃねえし。

あとはいつものゴッホとかグランマとか東郷青児とか。
http://www.sjnk-museum.org/program/4652.html

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