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2017年7月 9日 (日)

クエイ兄弟 ファントム・ミュージアム(松濤美術館)

去年だったと思うが、神奈川県立近代美術館の葉山館でやってて、時間かけてわざわざ行ったのです。なんだー渋谷に巡回してくるのかー待ってりゃよかったー と思ったが、今日行ったところ、会場スペースの広さがやっぱし違う。松濤は広くないので、映像コーナーは一つにまとまっているし、展示コーナーもコンパクトになっている感じだ。でもアニメーションに使われたデコール(人形とか舞台装置)は一通り出ていて、おいしいところは楽しめる感じだ。

最初の、初期のドローイングを再見して、「喜びの電気拷問」とか「死体の学校」とか屈折したタイトルと内容の絵がやっぱり好きで、暗く神秘的で妖しい世界を私もまた文章だけで描きたーいと思うわけですよ。ところで、今回あらためて、おやっ、と思ったのは「ペナルティーキックを受けるゴールキーパーの不安」ゴールキーパーだ! 縞柄のシャツを着ている。絵の全体は暗い感じだが、そこに唐突に縞柄のゴールキーパーである。「楡の木の向こうからトランペットの音が」これにも縞柄ゴールキーパー。先日、実家に行った折りに筒井康隆の「虚構船団」という小説があり、いや、私が住んでた頃に買ったんだけど、筒井の最高傑作だと思っているのです。それを持ってきて再読してた。長いだけでなく結構読むのに苦労する小説なんだけど、そこに実は、唐突に出現する縞柄シャツのゴールキーパーというのが登場するのだ。読んだ時に、なんで縞柄なんだろう、と思ったが、ここでも縞柄だ。ふうむ、昔はそうだったのか? あるいは、実は筒井がこの絵を見ていてインスピレーションを受けたとか、という適当な妄想もまた楽しい。あとは「憎悪を行使する恋人」も木から煙がモクモクという愉快なもんだ。それから参考出品なんだけどアンソニー・バージェス「時計じかけの遺言」おや、この人「時計じかけのオレンジ」の作者じゃないか。こんな暗くて妖しい絵も描いてたのか。前は気がつかなかった。

階が変わって、アニメーションで使われたデコール。どれもわざと壁を汚して年期の入った感じにする技が冴えている……って書いたよな。で、これらと同じのはアレですね、ジョゼフ・コーネルの箱シリーズ。時を箱の中に閉じこめるのだ。「プラハの錬金術師」のデコールに、現在西美でやってるアルチンボルドが使われている。そういえばこの錬金術師の顔もアルチンボルドの「司書」ってやつと同じようだな。頭が開いた本でな。あと、撮影可のデコールが入り口んところに一つある。おなじみ映像のダイジェストもあって、ボリュームは葉山より少ない感じだけど、あらためて見て、アニメーションもいいが、音楽も音響も結構凝っているんだね。音もクェイワールドの重要な要素なんだなあ。しかしまたいろいろ見たくなったぞ。

今回のお目当ては実は地下でやっているDVD上映会なのだ。割と新しい(2012年)「変身」を見てきた。もちろんこれカフカ「変身」の映像化。結構版権が厳しくて見れる機会がめったにないんだって。見たところ画面が全体に暗く、DVD映像じゃちと苦しいんじゃなかろうか。内容はクェイの若い頃(?)と違ってまったり系。もちろん幻想的でモノクロ的(モノクロというわけではない)雰囲気十分だが……見てるとボケーとしてきて眠気をもよおす。隣がなんと子連れで、子供が「こわい」を連発。そりゃー怖いだろう(「ストリート・オブ・クロコダイル」ほど怖くはないが)、なじぇチビッコを連れてくる? まあ親が見たかったんでしょうなあ。しかし30分前から整理券配りますってことだが、整理券に番号がついていて、10分前ぐらいに番号順に案内……じゃないんだな。整理券配ると同時に中に入れちゃって、席取って下さいとのこと……ん? じゃあなんのための整理券なのだ?
おなじ渋谷のシアターイメージフォーラムで、7/8から映画上映もやってるぞ。

建物の雰囲気と合っている。
http://www.shoto-museum.jp/exhibitions/173quay/

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