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2017年7月 1日 (土)

アルチンボルド展(国立西洋美術館)

アルチンボルドの奥さんはナイチンゲールって言うんだぜぇ。嘘だけど。しかし、アルチンボルドとは、面白いところに目をつけましたな。だまし絵っぽいから夏休みのキッズも引っぱってこれる。混みそうなんで早めに行くぞと小6の娘同伴で乗り込んだ。土曜午前でまーまー混んでる。でも絵の前にテンコ盛りということはなく、待ってりゃ最前列でも見れるくらいだ。
入っていきなり「四季」というのがある。1枚で四季。初めて見るな。樹木ヅラだな。もちろん例のいろいろ寄せて顔にしてるヤツね(寄せ絵)。それからいきなり下の階へ行って、自画像だとか。「紙の自画像(紙の男)」というのがあって、素描ながらこれがもう寄せ絵。紙でできてる。あと本人だけじゃなくて「アルチンボルドにもとづく」というパチモンも多い(先日のダヴィンチ&ミケ展みたいなもんですな)。そういえば時代的にダ・ヴィンチと同じようなもんなんで、なんとダ・ヴィンチの素描があったりするんだな「鼻のつぶれた禿頭の太った男の横顔」。このハゲーッ! いやしかしなんでこれが出てるんだ。ちょっとグロい顔に慣れておくためか。「植物の習作」もダ・ヴィンチだけど……まあこれは普通。娘も特に注目せず。なんでこれがあるのかと素朴な疑問。
それからアルチンボルドが雇われていた(んだよな?)、ハプスブルグ宮廷の展示で、肖像とか工芸とか。あー肖像なんてどうでもいいやーってんでロクに見てない……んだけど、一応「アルチンボルドに帰属」の肖像が並んでいたようです。普通の宮廷画家やってたんだ。工芸はきれいどころだがまあ適当に見た。
階段上がって、いよいよ次の間がメインディッシュ。「四季」の4枚、「四大元素」の4枚が揃っている。全部おなじみ寄せ絵にして代表作にして傑作。「春」は花、「夏」は……なんだっけ。果物だ。「秋」は実り、「冬」は枯れ木、「大気」は鳥、「大地」は動物、「水」は魚、「火」は火関係で寄せて顔にしてる。全部キモい……まあこれがキレイだって人もおらんでしょう。娘は「大気」を「とりあたま」と言って喜んでおった。確かに髪の毛の代わりに鳥だもんな。おもしろ絵に見えるが、世界の森羅万象をきっちり網羅して擬人化するという創作姿勢からすると、単なる遊び絵ではなくて、結構本気で……ほれ、例の「意識高い系」みたいなメンタルでやってたんだなあ、と感じる次第である(そんな解説もある)。それゆえ、他のパチモンとは完成度もテクニックも丁寧さもひと味違うぜっ。あとで「水」の模写が出てくるんだが、明らかに模写はパワーダウンしている。似たような寄せ絵を描いてるヤツも「しょせん遊び絵」みたいなチャラい姿勢が多々あり、誰もアルチンボルドにゃかなわない。それが分かるだけでも見た甲斐があるってもんです。
メインが終わると自然描写のコーナー。寄せ絵だからって手を抜いてないんだぞ。自然描写あってこその完成度なんだぞ、という意味でもここで動物なんぞを描いた絵を見せます。ここに先の「水」のパチモンがあるのだ。絵はほとんどアルチンボルド以外ね。それから「自然の奇跡」というコーナーがあり、アルチンボルドの描く顔じゃなくても実際エキセントリックな顔のヤツがいて、それが自然の奇跡と称されたって話。アルチンボルドの寄せ絵顔も、実はそういう方面の自然の奇跡はこんな感じじゃねえかって表現だったって可能性。で、出ている絵が「エンリコ・ゴンザレス、多毛のペドロ・ゴンザレスの息子」だとかで、顔一面に毛。ここで娘がこれはYouTubeで見たとか言い出す。珍しい病気の映像だとかで……そんなの見とるのか最近の小学生は。ヒカキンテレビか?
寄せ絵のコーナー。同時代のや追随者いろいろ。アルチンボルドレベルじゃないか、こういうのがなくっちゃ子供も喜ばねえ。しかしあるのが「男根による頭部」文字通りだ。まあ版画でマンガっぽかったが。アルチンにはかなわないので、チンあるで対抗だぜっ。娘はイチベツして立ち去った。あと「擬人化された風景」は風景が顔になっているもの。版画だけどなかなかよくできてる。「女性の頭部」「男性の頭部」いずれも人が集まって顔になっている。ぜんぜん国も時代も違うが、ここに歌川国芳を出してほしい。
それから職業絵とカリカチュアの誕生とかで。ダビンチの素描がまたあったりする。「グロテスクな二つの動物の頭部」。あと模写だけどタイトルが全部グロテスクななんちゃらで、でもまあグロってほどでもないな。お待ちかねアルチンボルドの油彩、「ソムリエ(ウェイター)」「司書」「法律家」うむやっぱりマエストロは力強いぜっ。あと上下絵という逆さにしても見れる絵「庭師/野菜」「コック/肉」庭師はともかくコックはテクニカルでよくできている。十分遊び絵であると同時にレベルの高い絵でもある。こういうマジな遊びは何か魔力的なものも感じますな。
遊び絵展だとかで1枚とか2枚とか見ることはあるけど、まとめてってのはまず無い。また、まとめて見て初めて分かる、こりゃ神秘の自然界との対峙なんだ、と、ちょっと意識高い系で迫る企画だ。
http://arcimboldo2017.jp/

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