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2017年7月30日 (日)

吉田博展(損保ジャパン日本興亜)

行ったら結構並んでる。え? 並んでるの? そんなメジャーな人だっけ、というか私は知らんかった。見ればまあ、なるほどこりゃ口コミでも人増えるかもしれんという感じのものではある。版画で有名みたいなんだけど、油彩も水彩もあって、特に水彩は光に弱いんで前期後期で入れ替える(前期今日までだってお)。

最初に初期の水彩とか鉛筆画とか、水彩「土瓶と茶碗」んん~写実~♪ これ前期だけだけど後期も何かイイものが出るであろう。「花のある風景」も道に落ちる影が実に自然なもんで、このスケッチ力はただもんじゃねーな、というのがまあ誰でも分かると思う。

その後、外遊が多かったとかいう話はさておき(説明あんまし読んでない)。前期のみ出てる水彩が続く。「湖の眺め」なんてモネ風ですかね。「霧の風景」すげーこりゃ霧だわ。水彩すげー(ボキャ貧)。で、この辺から油彩もチラホラ。夏目漱石の「三四郎」に出てきた「ヴェニスの運河」がいらっしゃ~い、三枝じゃねーよ。ええと、油彩はもちろんうまいけど、水彩に比べると普通。「堀切寺」とか東山魁夷っぽいんで、あーそれで混んでるのかなと思ったり。東山魁夷って人気だけど私はあんまり食指が動かんもんで。人物も描く「月見草と浴衣の女」うん、普通にうまい。えーそれから山の絵なんか増えてきて、そう登山やってて山の画家でもあるんだよ。この企画展もモンベル協力だし。あーなんか山登る人達が絵を見に来て、それで混んでるのかなと思ったり。バラの絵の連作が普通にうまいなと思ったり。「雪景」とかいうのを見てあー水墨もやるのかと思ったり。んで、愚かにもこの辺でこの画家を見切った気になっていたが、実は本領はこの後なのじゃ。

木版画をやるようになった。江戸浮世絵でも新版画でもない、とにかくリアルなヤツ。画題も日本ものだけじゃなくて「グランドキャニオン」とか「アゼンスの古跡」とか「スフィンクス」とか、え? これが版画なのか? という自然なグラデーションを駆使した仰天もの。木版画は色の数だけ摺るんだけど、江戸浮世絵レベルの数回どころか、十数回、中には百回とかいうとんでもないのもあるらしい。人物もあり「鏡之前」という裸婦像、あと「こども」……マジこれ版画かよっ! ううむ、どれもハイレベルだ。そうだなあ、江戸浮世絵版画ではもちろんないが、小林清親の光線画に近い感じはある。あれをもっと写実っぽくしたものか。こりゃまあ人気も出ますなわあ。とにかく木版とは思えん作品群には君もビックリさ。

戦争画が少しあって「急降下爆撃」とか「空中戦闘」とか、解説にも書いてあるけど、ただの戦闘の絵じゃなくて、地面が真下に見える空中の面白さを描いたもの、という感じがするね。

水彩と木版に驚け。
http://www.sjnk-museum.org/program/current/4778.html

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