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2017年9月 3日 (日)

サンシャワー 東南アジアの現代美術展2(森美術館)

先週の新美術館に続き、今週はもう一つの会場の森美術館だお。テーマもボリュームもデカいので覚悟してかかれい。
ちなみにどっちも音声ガイド無料。普段は使わないんだけど、無料だから……ってわけでもなく、知らんアーティストばかりなんで借りた。んー、音声ガイドもいいんだけど、作品の印象まで述べられると困る。こっちもその通りの印象を受けなきゃいかんのか、と思ってしまうんよ。印象は人それぞれでいいはずだ。諸君も音声ガイドにゃ気をつけよ。(そうは言ってもおめーは印象を書きまくってるではないか、と思うかもしれんが、これは読み物であってガイドではないのだ)

「発展とその影」のコーナー。文字通り発展していくアジアとその発展に残されたもの。最初にズル・モハメドのパイプとスピーカーを組み合わせたもの。車の振動が聞こえ、人の声も聞こえる。ジャカルタ・ウェイステッド・アーティストは、古い看板をもらって新しい看板を作り、古い看板を回収して、それを展示。ええと、リュウ・クンユウはマレーシアの各地の写真をコラージュして、カラフルでキッチュな画面を作る……ってガイドのまんまの形容なんだがまあその通りだな。インドネシアのアディティア・ノヴァリ。あーこれ面白かったね。商品紹介コントみたいなビデオがあってな。その商品の実物が並んでます。一応風刺的な意味があるっぽい。カンボジアのリム・ソクチャンリナは、ハイウェイ拡幅工事でどかなかった家の写真。おお、これ都内某所で実物を見たことがあるお。その家の周りだけ深く掘られてて異様だったお。外国にもあるんだ。

「アートとは何か? なぜやるのか?」ってコーナー。ここで前回疑問に持っていた、なんで東南アジアのアートは、お国柄や社会情勢、社会問題に密接に関係したものが多いのかってのが一応解消。発展途上国はアートの制度も遅れているので、アートとはいっても社会や政治に関わっていないと、扱ってもらえんというのです(だよな)。ここでは、アートプロジェクトの紹介なんだけど、島に住んで問題解決とか、作品を売ってギャラリーの資本にしようとか、炭坑に入って労働者と一緒になって社会問題を考えるとか、実に意義のある活動……なんだけど、ストレートに意義ありすぎていてねえ。ここでも私は折元立身のパフォーマンスを考えたりする。例えばアート・ママの一見意味のないパフォーマンスにも、その背後に介護やストレスといった問題があるんだけど、これも「これが問題です!」とぶち上げてやらないところがアートたるゆえんだよなあ、と思ったりする。意義があってもほのめかす程度で、ババーンと出すのはなあ。やっぱ発展途上的な印象を受けるんよ。

「瞑想としてのメディア」コーナー。タイのコラクリット・アルナーノンチャイは一部屋のインスタレーション。ポエトリー映像だがラッパーでもあるんだと。龍の造形がいい味だしてるお。ミャンマーのマウン・デイは手堅い鉛筆画。同じミャンマーのポー・ポーは地水火風のグラフィック……普通だ。インドネシアのアルベルト・ヨタナン。おお、これも面白かったね。白い陶器のセラフィム(翼だけの天使みたいな奴)と花が2000個が壁にびっしり。壮観だお。カンボジアのソピアップ・ピッチが竹などで作った有機的造形。普通によい。えーとしばらく行って……インドネシアのアグス・スワゲが定時の宗教放送が壁から聞こえてくるインスタレーション、あと宗教放送のトランペットに耳をふさぐ人の彫刻。日本ならさしずめ、5時半の子供達は早く帰りましょう放送だな。うるせーよなあれ。あれで耳ふさいでるの誰か作らないかな。

最後の「歴史との対話」コーナー。最後まで真面目ですこと。ベトナムのバン・ニャット・リン「誰もいない椅子」は面白かった。床屋の椅子が実際のベトナム戦争で使われた戦闘機の椅子で、そこで、元兵士の髪をセット。ベトナム戦争ものといやぁアメリカだが、当のベトナムのアーティストってところが大いなる意義がある。カンボジアのヴァンディー・ラッタナの爆弾が爆発した跡地写真。分かりやすい。いろいろあって最後、フィリピンのフェリックス・バコロールの「荒れそうな空模様」という1200個以上の風鈴インスタレーションがクライマックス。一見華やかだが大量生産と大量消費を暗示だお。扇風機で鳴らしているが確かに音を聞くと心地は良くない。警告のベルにも聞こえるのだ。

2会場で作品ギッチリで真面目に鑑賞するならそれなりの時間を覚悟だ。2会場行っても1800円。コスパはいいぞ。
http://sunshower2017.jp/

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