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2017年10月15日 (日)

澁澤龍彥 ドラコニアの地平(世田谷文学館)

昨日、両国の大ダルマイベントで描いてるところを見れずに凹んだが、気を取り直し……てないがまあ行ってきた。今回は美術鑑賞というより、文学館訪問みたいな。澁澤龍彥で最初に読んだのは「夢の宇宙誌」でしたな。小説ばかり読んでいた私だったが、おお、こんな面白い本があったのか! っていうぐらい面白く、それ以降、いろいろ読んだものです。

最初に地球儀があって、廻転する球体が好きだというような話、とその草稿。美術作品として中西夏之の卵形「コンパクト・オブジェ」などがある。最後の長編小説「高丘親王航海記」の草稿あり。うーん、手書き生原稿。こないだの建築図面もそうだが、コンピュータに入力が主体で手で書くなんてのはなくなってくるのかな(オレももう手では書いてない書けない)。まあ文学はまだ建築よりも「手で書いてもよし」な感じがするし、手書きにこだわる人も多いと思う。で、草稿なんだけど修正指示がたくさん入っていて、フキダシで指示したりしているのも面白い。

60年代のコーナーがあり、当時のポスターとか貼ってあったりする。あと、ここには暗黒舞踏の土方巽の葬儀(これは86年)での弔辞の原稿と、本人朗読の音声。うーん、こんな声だったのか。初めて聞くな。なんか知的でクールな声なのかと思ったら、意外と甲高い。でもこの頃既に喉をやられていた(癌)そうなんで、本当はもっと違ったのかもしれないが。しかし土方巽って、私はほとんど知らんのです。ダンス見ないし、まして暗黒舞踏ってあのう……白塗りみたいなやつ? うーん、ちょっと見る気がせんなあ。あ、映像が流れています。中村宏が撮ってるらしいが……あの現代美術家の中村宏か? あと池田満寿夫のコラージュ(だよな)がある。「聖澁澤龍彥の誘惑」とかなんとかいうタイトルで、そうか交友もあったのか。

それから博物誌や美術関係など、草稿いっぱい……っていうかかなりの数展示してる。はじめの方は読んでたりしたが、あまりに数が多くて読まずに眺めるだけになった。それから応接室と書斎なんてコーナーがあって、美術作品もちょっと展示。池田満寿夫あり。サム・フランシスだと思ったら加納光於ですかい。下の方のアートっぽいカラスなどは……え? 加山又造? あの現代琳派の、割と一般ウケの加山又造がこんなところにあるなんて意外だ。あと美術品では、デューラーの版画、おっとヒエロニムス・ボスの版画も一枚あるじゃないか。あと異様な建築空間のピラネージの版画も。いずれも澁澤好み。展示はガラスケースの距離があってちょっと見づらい。美術品ケースがまだあり、エロティシズムコーナー。金子國義の絵がある。四谷シモンの機械見えてる少女人形。ベルメールの少女の下半身だけ2つ結合の人形がヤバい。ヘンタイ以外のなにものでもない。あまり関係ないんだけど、この手のストレートなインパクトは、今流行りの「怖い絵」の読み解きインテリジェンスとは対極にあると思うんよ。読み解き好きのインテリどもには一言言ってやりたいが、それはまたの機会じゃ。もっとも、澁澤龍彥の絵画評も結構ちゃんと読み解いていて、その先の画家の心理にまで突っ込んでいるので、「怖い絵」の中野京子とそんなに離れていないのかもしれない(「怖い絵」読んでないのだ)。

以降、今度は旅のコーナーがあり、旅には出たくないんで不機嫌だけど出たら調子が出てきちゃって機嫌がよくなるって。なんだかんだ結構旅をしている。旅のメモがあるぞ。それから書斎のコーナーと書簡のコーナー。最後は「高丘親王航海記」の草稿連打で終わり。

この施設行ったことなくて、大した規模じゃないのかと思ったらこれがどうして、草稿がこれでもかっつーくらい展示してある。まあ全部読んでるわけにもいかんと思うが。見ごたえあり。あと常設展示でSFやってた。海野十三という知る人ぞ知る巨人のコーナーが嬉しい。
http://www.setabun.or.jp/exhibition/exhibition.html

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