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2018年2月17日 (土)

会田誠展「GROUND NO PLAN」(青山クリスタルビル)

大林財団の「都市のヴィジョン」という助成制度による展示で、アーティストが都市を研究、考察する。その第1回が会田誠。なかなか「攻め」の人選ではないだろうか。それに対し会田がまた会田らしく応えている企画。あれだけの展示スペースをよく埋め尽くしたというほど充実している。入場無料、撮影可能。

フロアがB1とB2に分かれていて、B1は美術展示いわゆるホワイトキューブっぽい空間。最初に「東京改造法案大綱」という文章がある。今回の展示は文章も多い。この大綱、内容は東京に水辺はどうのこうのというもので、かつての江戸が水路の町だと知っていると、そう意外性のない視点かもしれん。いや、別にいいんですが。次に「Shaking Obelisk」というオベリスクがウネウネする構想とジオラマ(模型)なんだけど、ジオラマは動くはずのところ故障中とか書いてあるがわざとか? 「東京都庁はこうだった方がよかったのでは?の図」という構想図とそれを山口晃に依頼した「都庁本案圖」。おお、山口晃がちゃんと描いている。形は面白いけど建築的には石垣だらけでどうでしょうというところ。あの石垣の中に部屋があるのかな。「シン日本橋」というゴジラ的にデカい日本橋。「風の塔」改良案。なんだっけ、東京湾のトンネルにあるヤツだよね。あれをもっとイケてるものにしようってんで、「ちくわ女」にする構想図。おおおっ、これは相原コーシのマンガ「コーシ苑」のキャラではないか! 同時代に見ていたオレ感激というか「びょおおおおお……」という効果音がほしい。「考えない人」は会田おなじみのキャラのジオラマ……って自分の作品に船の模型置いただけではないのか? 「成田空港お土産マグカップの思考実験」思考実験というか普通に作品だな。普通に面白い。やっぱし富士山とエロと109のヤツがいい(ったって実物見ないと分からんと思うが)。別の部屋でドローイングがいくつか。「リーマンのゲロクッキー」とか会田的なナイスなネタ。ミヅマでみたカラーウンコ弁当箱を思い出……さなかったが。「東京オリンピック20202メインスタジアムのイラスト」ってどう見てもオメコで、ついでに「《TOKYO 2020》ドローイング」ああっ、なんかこれ見事に本質をついている。そして「新宿御苑大改造計画」の部屋。黒板にビッシリ板書。マジだ。すげえ。あまりの文章ボリュームなんで全部は読んでない。どうも新宿御苑を山林豊かなビオトープにしようってことらしい。割とまじめにイイじゃないか。ジオラマがあって、これがまた結構「いい感じ」に魅力的なので、実現したら素直に嬉しい。

階段を下りてB2に行くと一気に雰囲気が変わる。「セカンドフロアリズム」というインスタレーションというかコンセプト展示というか、表参道らしからぬ小汚い空間というか。「セカンドフロアリズム宣言草案」という手書き文字いっぱいのシロモノがある。要は整然とした町よりもスラムやバラックがいいじゃないか、ということ。おっ、と思ったのはフラードーム(建築家バックミンスター・フラーの考案した合理的ドーム)に言及していること。富士山の観測所ぐらいじゃんとか言っているが、究極の合理性を持つこの構造物は……もうちょっと使われてると思うぞ。フラーの超合理性のダイマクションハウスやダイマクションカー(地球が球体だから3輪なのだ)はてんで普及しなかったが。で、このセカンドフロアリズムのスラム・バラック賛歌で、B2フロア全体が概ねそんな状態で、ガラクタあり、タテカン(立て看板)あり。タテカンはいろいろで「何もやるな」という文字から、「TOKYO 2020」の脱力もの、「発展途上国から始めよう」って、これまんまエヴァンゲリオンキャラではないか。「雑草栽培」コーナーではどう見てもそこらの雑草を本当に栽培している。「国際会議で演説する日本の総理大臣と名乗る男のビデオ」は会田誠による総理のモノマネ(?)なんだけど、いちおうそれなりのことを言っている(ちゃんと聞いてなかったが)。英語で日本語字幕付き。会田誠のカラオケ熱唱もある。要するにゴタゴタといろんなものがあり、こういうのが好きだという人には歓迎されると思うが、実はオレはそんなに好きではない。なーに気取りやがってと思うかもしれんが、そうじゃないんだよね。なんていうかバカバカしいことを大まじめにやるようなギャップが好きなもので(B1F)、バカバカしいことをいかにもバカバカしい雰囲気のところでやっても(B2F)ギャップがなくてあんまし面白くないというところです。いや、これはこれでまじめにやってるんだけどもね。ちなみに、オレは表参道より池袋の方が好きだし居心地もよい。

ということで無料でありながら結構濃い内容だ。
http://www.obayashifoundation.org/event201802.html

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