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2018年4月23日 (月)

理由なき反抗展(ワタリウム美術館)

ワタリウムのコレクション展だけど、ちゃんとコンセプトがある。「アートの歴史とは、自由への戦いの歴史である」なーんてことで。しかし、アート界隈も私が多少関わっている詩の界隈も、いわゆる左翼、いわゆる反自民党がアタリマエの空気で困っちゃうな。今の野党なんぞ文句ばっか言っててでロクに対抗政策もまとめられん。それでもその手の人々は「自民党支持者なんてバカ」と言い切っちゃう選民野郎達だ。しかし……なんでそれでイイのか、まさに、そこに、芸術があるのだ。
福島泰樹という歌人がいてね、短歌絶叫コンサートというのをやっていて、私は大変好きなのです。たまにしか行ってないけど。彼は昔の、死者達の魂を呼び出し、叫ぶ。中原中也、岸上大作、村山槐多……そして石川啄木。おお啄木よ。テロリストのかなしき心よ。奪はれたる言葉のかはりに、われとわがからだを敵に擲げつくる心よ。しかしその心は美しい。もう理屈ではない。価値基準はその魂が美しいかどうかだ。芸術の美しさはすなわち魂の美しさである。なに理屈では勝てない? そんなんで勝つ必要はない。ヤツラの魂が汚くてムカつくからこっちは魂の美しさで立ち向かうのだ。お前らに分かるものか。だがしかし、いかに魂が美しかろうと、すばらしいデモができようと、この国は選挙で当選しなきゃ動かせないのだよ。
えーさて、前までワタリウム企画はチケットが期間中何度入場も有効だったが、今は1回だけで1000円か、何度も入れる1500円と2種類になったのさ。あと今回は4階→3階→2階という順路だ。ここは建築は大変凝っているが導線がまずくて、4階へはエレベーターでしか行けないというエコじゃないつくりになっている。今時なら階段だよなあ。
さて4階は「レジスタンス」ということで割とポリティカルだお。オノ・ヨーコの白だけのチェスの駒がある。対戦してもどっちも白だから敵味方が分からなくなる。争いは起こらない。ピースでナイスなアイディア。でもそれでチェスやろうって人はおらんでしょうなあ。ジョン・ケージがガラスにいろいろ描いたのを重ね合わせて別の価値を生み出すという作品。それから日本から、レイシストしばき隊に入っているという竹川宣彰。レイシストが行く地獄絵(小さい)、それと棘付き金属バットが何本も。おおっ、まさに暴力革命。アナーキーアイテム。あー、これ、有田芳生が手にとって喜んでいたヤツだな。写真が拡散して何が平和主義者だ議員のくせに暴力上等なヤツじゃねーかとか言われていたが、アート作品だったんだね。実際使うつもりで作ったわけではないだろう……と思うがよく分からない。ただ、使わないつもりでも「使える」ものを作らないと意味がないぞ。その他、長い梯子とかあったけど、どういうコンセプトか忘れた。
3階は「デザイン革命」のコーナーで、まずバックミンスター・フラー。20世紀のダ・ヴィンチ。その合理的な構造による「ジオデシック・ドーム」は世界中で使われ、同じ構造が分子になっている「フラーレン」というのがあるから驚きだ。フラーのスケッチのシルクスクリーンがいくつも並ぶ。解説の冊子も参照できる。あと貴重なフラーが語るビデオがあった。一部しか見ていないが、ツール(道具)の話をしている。人類はツールを使う。一人で作って使うツールもあるが、二人以上で作って使うツールは「インダストリアル・ツール」であり、また、その作成を実現させるためには情報交換が必要だ。つまり、言語はインダストリアル・ツールなのだ。また、自然に目を向けると、蟻塚も蜂の巣もインダストリアル・ツールだ。そう、遙か昔からインダストリアル・ツールは存在したのだ。文明を捨てて自然に帰れなんてバカ言ってんじゃねーよ。自然だって昔からインダストリアルが問題を解決してきたのだ……というような感じ。有名な話なんで何度か書いているが「宇宙船地球号」と言い出したのはフラーである。ただその意味は、地球という宇宙船を大切にするため節約しましょう、じゃない。地球を一つの機関と見なし、もっとチューニングして、本来の燃料である太陽エネルギーを使うようにしようぜ、というほとんど逆。バリバリテクノロジーの人なのだよ。展示では合理性を追求して作った「ダイマクションハウス」とか「ダイマクションカー」のデッサン。このカーが3輪なんだ。何でかっていうと、地球が球形だから3点で支えるのが一番合理的なのだよ。しかし結果的に、ミスタービーンでいつもひっくり返されているダサい3輪自動車みたいな見かけになった。ま、そういう発想の人なのだ。あとはロトチェンコの立体と、マックス・ビルのいかにもバウハウスなデザイン画。
2階に降りて、ここは「理由なき反抗」コーナーで、最初にこのジェームス・ディーンの映画のポスターをもとにしたウォーホルの作品。なんと日本のポスターをもとにしている。ギルバード&ジョージのダンス映像と平面作品。キース・へリングの絵がいくつか、あとビデオ。詩人、アレン・ギンズバークのポエムリーディング映像。演劇じゃないよ。詩の朗読だぞ。なんでカンペ見ながらやってるんですか? だって朗読だもん。あとギンズバーグの写真。ロバート・メイプルソープの写真。本が読めるコーナー。
ワタリウムらしい展示作品と内容で、近頃あまり見ない傾向なので嬉しい。
http://www.watarium.co.jp/exhibition/1804rebelwithoutreason/index.html

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