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2018年5月 5日 (土)

モダンアート再訪(埼玉県立近代美術館)

「ダリ、ウォーホルから草間彌生まで」ということで、福岡市美術館のコレクション。福岡市美術館が工事休館中なんで、その間やってきた。これがなかなか充実している。
 
コーナー分けがしてあり、最初は「夢の中のからだ」ということで幻想的な身体の絵画。いきなりレオナール・フジタ(藤田嗣治)の「仰臥裸婦」例の乳白色を十分に使った裸婦でこりゃなかなか上物じゃありませんか。ミロとシャガールの手堅い絵があり、三岸好太郎「海と陽光」うむ、初めて見る。裸婦ものだな。次、おっとなんかこりゃ見たことのある絵があるぞ。藤野一友「抽象的な籠」。書店でSFの文庫本を見ていると目に入っちゃうその絵画。上を向いて横たわっている女性の体が籠のようになっていて、中に人がいたりする。今調べたらフィリィップ・K・ディックの「ヴァリス」。おお、なんか昔から知ってる、あのインパクトのデカい絵の原画がこれだ! 福岡が持ってたのか……ていうか作者日本人ですかい。それからダリのキリスト教画っぽい「ポルト・リカドの聖母」これ、何度か見てるよな。デルヴォー「夜の通り(散歩する女たちと学者)」これも夜、裸婦、汽車、リーデンブロック博士と定番のデルヴォー要素でできている。
 
次は「不穏な身体」ということで、文字通りあまりキレイじゃない身体。いきなりジャン・デュビュッフェの「もがく」というグチャグチャ描き。巨匠、野見山暁治「人間」も抽象風人間。海老原喜之助「傷身」ちょい抽象的ながら、これは傷だらけだって分かる。痛い。それから練馬区立美術館で個展開催中の池田龍雄「寓話-マン・レイ風に-(綱元シリーズ)」と「傷痍軍人」練馬を見たので分かるが、戦後のやりきれなさ爆発時代の作品だよね。元特攻隊員。河原温「孕んだ女(下絵)」と「朝が来る」日付絵画なんてやる前はこんなヤバい絵を描いていた。いずれも鉛筆画。「孕んだ女」は近代美術館で油彩を見たことがある。いずれも人体なんだが病気らしく肌ブツブツ、「朝が来る」はその上手足も切断され、散乱してて、場所は牢屋かよ。ややマンガ風の鉛筆画で生々しくはないんだが、十分ヤバい。救いもない。でも見てるとクセになる。しかし河原温はこの後コンセプトアートに行ったきり、この路線には戻らなかったな。戻ったのを見たかった。工藤哲巳の立体。イヴ・クラインのクラインブルーで体を使った絵画あり。
 
「身体と物質 九州派・具体・アンフォルメル」というコーナー。福岡なんで九州派なんてのを集めています……ってその存在を初めて知った。しかしどうも私は具体とかアンフォルメルが得意でない。これ何がいいのかなーとか思っちゃう。尾花成春「黄色い風景 No.1」なんてゴミを踏み固めたんかい。山内重太郎「作品5」ううむ、焼け焦げ風。桜井孝身「リンチ」ゴツゴツしてて、立体風でアスファルトまで使ってる。菊畑茂久馬「葬送曲 No.2」赤いシャモジ人間がいっぱい。オチオサム「球の遊泳Ⅱ」文字通り球がいっぱい。んーまあそういう作風だ。おや草間彌生だと思ったらマーク・トビー「収穫」黄色い画面。はあ。草間の無限の網かと思った。白髪一雄「丹赤」出たよアクションペインティングみたいな絵の具大量使い。赤いぜっ。元永定正「作品」これも抽象。なんかこの人はユルい絵本のイメージが強いが、ここでは結構ちゃんとしてる。松谷武判「繁殖65-25」立体風。円の裂け目が目立つヤツ。
 
「転用されるイメージ ポップ:アートとその周辺」。もうオリジナルの何かではなく、広告とかからイメージを持ってきちゃうポップアート。赤瀬川源平「千円札(風倉匠の肖像)」札を描いて偽札にならないギリギリの線で。その風倉匠のパフォーマンス「ピアノ狂詩曲」ピアノを鞭でひっぱたきつつ音も出しつつ破壊するパフォーマンス。1994年のパフォーマンス映像と、使われた鞭とピアノ部品での作品「ピアノ狂詩曲6-97.P3」。パフォーマンスでは最後白い粉まみれになってたが、何だろう。さっき赤シャモジ人間を見た菊畑茂久馬、今度は「ルーレットNo.1」ということでルーレット装置のような造形物。ウォーホルのおなじみ「エルヴィス」。リキテンシュタインの「雲のある風景」は例のドット絵の調子で。ここで草間彌生「夏(1)」「夏(2)」タイトルは普通でも作品は例の草間で、赤地に白水玉のスカルプチュア(ソーセージみたいな形の柔らかいの)がびっしりの立体。いつも通りキモい。アルマンの「呪われた村(光る目)」はガラスケースに人形いっぱいで苦しそう。タイガー立石のややマンガ風。篠原有司男「ドリンク!」ん? どこかで見たような、と思ったら、ラウシェンバーグとジョーンズの複合体のようなもので、イミテーションアートだって。パクリ風じゃないですか。おおっとここで先日原美術館で見た柳幸典「二つの中国」。原にある作品は南北朝鮮だったが、今度は中国と台湾の旗だ。アリが少しずつ運んで、どこまで混ぜ合わせられるのかな。
 
「イメージの消失 抽象と事物」抽象バリバリみたいなのが集まる。なんたって最初はフォンタナのキャンバスを切ったの。「空間概念 期待」ここでは緑の色付きキャンバスだぞ。ロスコ「無題」もう例のロスコです。ふにゃっとした四角が上下二段の。フランス・ステラ「バスラ門Ⅱ(分度器シリーズ)」半円形の分度器っぽいきっちりした抽象画。このコーナーに属するもので。会場の廊下にあるものがあり、一つは山崎直秀「Book1」「Book2」「Book3」これ、一見岩波新書みたいだけど、字がデタラメで読めないというもの。原口典之「無題」パンみたいだけどパンじゃないよ。榎倉康二「予兆のためのコレクション -鉄」刀みたいなだけど刀じゃないよ。どれもそんなもんで。
 
「再来するイメージ」コーナー。再び抽象じゃなくなってきた、というところで。ジグマー・ボルケ「Nessi Has Company Ⅱ」人物というか、なんだ、羽があるから天使か妖精か。辰野登恵子「UNTITLED 94-9」うむ、いつものド抽象じゃなくて丸が並んでおる。横尾忠則「暗夜行路 旅の夜」よく描いてるY字路の1つ。おっと、原美術館でも見たやなぎみわだ。エレベーターガールの写真。ここでは赤い液体に溶けていって。包装紙みたいになってしまうプロセスを4枚組で。金子修の写真。一番奥にバスキアでおしまいなのだ。
 
コレクションの代表作を持ってきた感じなので、なかなか見応えありますね。各時代の特徴を示す作品が多く分かりやすく並んでいるぞ。
http://www.pref.spec.ed.jp/momas/?page_id=382

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