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2018年6月 5日 (火)

夢二繚乱(東京ステーションギャラリー)

点数が多いだろうと思ったらマジで多い。しかも「夢二と出版」というコンセプトで印刷物も多いもんだからさらに多い。しかーも、クライマックスが最後にくる。
 
最初は「夢二のはじまり」コーナーで。若い頃の作品らしい。「月見」の美人は普通っぽいが、「芸者」なんて27歳ぐらいだともう夢二美人は完成しているようだ。「どんたく」という文章のない絵本がある。デザイン画っぽい、アルファベットで「DONDOC」だって。そうなのか? 北斎マンガっぽい「夢二エデホン」とか。やはり版画など印刷よりも水彩なんぞがよくて、「月の出」で浮かび上がる少女の顔などなかなかイケる。
 
「可愛いもの、美しいもの」コーナー。夢二美人の掛け軸とか。うーん夢二美人って、前は「貧血で倒れそうな」とか形容してたが、今見るとそれもちょっと違うな。どういう形容がいいのか、「キレがない」「ヌーっとしてる」「アンニュイ」まあとにかく夢二美人。あんまし萌えない。多分だけど、モテる人ほど夢二美人のよさが分かる。夢二がモテたしな。それより、意外な、というか知っている人には今更なんだけど、夢二はデザインが優れている。その千代紙模様というんですかね、「みなとや版」とかいう。それが並んでいて、なかなかいいセンスですなあ、という感じ。いや萌えない美女より、こっちの方が本業ってことでいいんじゃなかろうか。あとはうちわがあり、絵はがき「月刊夢二エハガキ」とかが大量にあり、しかしやっぱり原画がいい。印刷物よりもダイレクトだ。「かるた会」『新少女』口絵原画や「お正月」『少年少女』表紙原画とか。本の装丁もやってたんで、本がずらっと並んだりしてる。「春の鳥」の表紙を開いたところの……なんだっけ専門用語あるよな。ま、そこの模様も凝っている。階段を降りて、子供の雑誌の絵が並ぶ。中でも「手つなご」『コドモノクニ』大正11年12月号。富士山の周りを手をつないだ子供が回っている。おお、これは、そう、アンリ・マティスの「ダンス」を意識したと思われる。いや、そうに違いない。原画の「《童子》」も同じように手をつないで回っているが、こっちは覇気がねえ。
 
「目で見る音楽」コーナー。圧巻はセノオ楽譜大量展示。この表紙を夢二が手がけたが、とにかくバリエーションに富んでいるところは、非常に器用だ夢二先生。夢二美人だけじゃなく、水彩風景風、木版画風、スケッチ風、あと抽象画風まである。あとは夢二美人掛け軸。「早春第一枝」は実にはかなげだ。婦人向けの「婦人グラフ」もイパーイ。
 
そして最後『出帆』という新聞連載の小説の挿し絵134点。墨で描いた原画なので鮮やかだ。ここが目玉。ここがクライマックス。自伝的小説の挿し絵なんだって。なもんで、なんと年表と合わせた形で展示してある。普通年表はそれだけで出ているものだが(いつもほとんど見てないが)、今回は画期的スタイルだ。それにしても女性遍歴がパネエな。たまき、彦乃、お葉ときて、山田順子とな。どうしてそうモテるんだええ? あと、絵で描くと女性はみんな同じ顔のようだがの。似顔にしていないのだ。
 
十分な点数で夢二の活動を追うことができる。しかし好みとしてはデザイナー夢二だな。
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201805_yumeji.html

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