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2018年7月17日 (火)

中村忠二展(練馬区立美術館)

2階展示室だけ使った小さめの企画。まあ連休最終日であって、混んでるところに行くのもイヤなんで、混んでなさそうな場所ってことで。生誕120年だそうです。

最初に代表作っぽいの3つが並ぶ。「からす西へ行く」という抽象っぽいの。「どろぼう」という人物っぽいの。「石神井風景」という風景っぽいの……いや、ぽいのじゃないよ風景だよ。これ、いずれもモノタイプという技法で、ガラス面などに絵の具などを塗って紙を置いて刷る版画。ってことは版画ったって1回しか刷れない。ほー、そういうものがあるんだ。

それから年代順で、初期は油彩なんかやっている。船をよく描いている。風景も描いている。筆跡も見える感じで、ゴッホが地味になったみたいな感じ。次に水彩があるが、最初にある「霜の花」これが……よく分からない。これうまいのか? なんか小学校の展覧会にそのまんま出ていても違和感ない感じなんだが。ヘタウマか? いや、多分見る人が見ると「いやーこれはヘタな人では描けませんよー」と言うかもしれないが、俺にゃあどうも……なんだ。えええ何が優れてんだ? 木の陰影とか? 全体の色彩とか? そんなところがいいのかなあ。えーそれで次が水墨で「敗戦風景」とか。水彩よりはいい感じに見える。あのう……いい感じっていうのは、シロウトが描けない感じかな……って見てる方シロウト丸出しじゃん。

で、ここまでは全体に微妙な感じだったんだが、モノタイプをやるようになってから、俄然作風にエンジンがかかってくる。半抽象や抽象を入れ込んできて、割と心に訴える系のもんが増えてくる……よな。「青い星の下で」の人だかそうでないんだかしかし何かいい感じ、「野の女」の暗い存在感。「メシとヒト」が何とも面白く、ローマ字でグチのようなものが一面書いてある。金がなければ働かなければ、でも働きたくない。いいじゃないか働かなくても。ところが下半身だけ働きに出て行ってしまった……とかいう内容だったよな。次の「アルバイト ユキ バステー」も、こういう専業画家じゃない感じって、なかなか好きですね。それからより抽象的な「遠い歌B」等を経て、より独りを感じさせる作品、つまり独りの人がいる作品がなかなか魅せる。特に「夜の沼」独り佇む人、水辺、そして空に星。半抽象ながらしみじみできるじゃないか。他にも「夜汽車」なんてのも窓に独りだ。

詩画集をいくつか作っていて、その展示。ちょっとした抽象風の絵と、いくつかの言葉。分かりにくくはない。中でも、この展覧会のサブタイトル「オオイナルシュウネン」の元ネタ。これは「秋冬集1972」の中の「秋蚊」で、もう涼しくなった秋でも血を吸いにくる大いなる執念。じぶんもそうありたい。なんてもの。いいじゃん。他にも虫や物に託した自分の心情を描いている。

妻は画家の伴敏子という人だそうです。この人の絵もいくつか。特に変わった絵ではない。あと彼女は、中村忠二に関する小説も書いていて、何度か離婚のようなものをしたり、中村が奇行をやらかしたりしたらしい。本をいろいろ紹介して終わり。

小規模ながらもちょいと光る展示。悪くない。
http://www.city.nerima.tokyo.jp/manabu/bunka/museum/tenrankai/nakamurachuuji.html

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