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2018年9月24日 (月)

横山崋山(東京ステーションギャラリー)

こないたここの、いわさきちひろの展示に行き、次は横山崋山だそうで……って誰? 知らんから別にいいや~とか思っていたが、なんか凄いらしいんで、行ってみたらやっぱり凄いっていうか、これは今後混み始めるかもしれないぞ。江戸時代後期に活躍した京都の画家だお。

まず9歳の時の絵がある「牛若弁慶図」なかなかうまい。いやウメエよ。何しろ橋の円柱がね、実に自然ということは、ちゃんと物の形の認識と平面への展開ができているのだ。これ昔はなかなか難しいもんだ。その能力は水墨にも発揮され……いや、描いてるんだよ水墨画を。「四季山水図」では岩がどんな形状をしているのかちゃんと分かるではないか。あと建物がちゃんと立体感亜あるぞ……ってこれ簫白の模写? ええと、横山さんちはあの曾我簫白と交流があったそうで、そおっ、あのっ、簫白。簫白の模写なんかもしていてそれが簫白と並んででている。「蝦蟇仙人図」。比較すると、簫白のは例のちょっとキツい顔の人物と太ったガマ。崋山のは若干マイルドで、割と普通のガマです。でも見たところ、どっちもそんなに差がない。これはなかなか凄いことではないか。あと簫白風の「寒山拾得図」なんかもあり、風味(?)がちゃんと生きている。

人物画も割と得意としてたそうで、七福神の絵が並ぶ。いやぁ、「寿老人図」「布袋図」顔が実に福福しいですなあ。「大黒天図」これは人物よりも俵が妙に立体的。そう、西洋風陰影も使えるんだよこの人。「西王母図」おお、なかなか美人を描くではないか。しかし「諾矩羅尊者図」(誰?)は凄い。これも人物じゃなくて龍の部分、水墨の陰影が非常リアルだ。西洋画っぽいが、ただ雰囲気を真似したってだけじゃなさそうだぞ。これはマジでヤバい。しかし、さらにスゲエのがある。「唐子図屏風」金地に子供達が何人も生き生きと遊んでおる。この子供達、表情がパワフルで。簫白風のメリハリのある顔というんでしょうかね、あれが子供のパワーにつながってうまいこと生きている。こりゃもう江戸のセンスじゃなくて、明治あたりのコドモノクニとかそんな感じだ。しかもそれが金地だぜ。「張飛図」も西洋風陰影の馬がなかなか。

花鳥のコーナーになり、崋山は虎の絵を得意とした岸駒(がんく)って人の弟子だったそうだ。なもんで、虎がいくつか。「雪中烏図」は、暁斎のにも似てる渋い存在感のあるカラスだ。「桃錦雉、蕣花猫図」(ムクゲ?)の猫もちょっと日本画離れした雰囲気を持っている。「日の出・波に鶴図」は横山大観とかが描きそうな感じだが、江戸時代にもうこういうキメの画題があったわけか。あとはおなじみ「三猿図」とか席画のガマとかあるよ。

風俗画のコーナー。風俗画も得意だったそうだ……って何でもイケるんじゃん。「四季漫画風俗絵図」実に楽しそうだし、何たって北斎漫画も驚きの人物スケッチ。しかもこっちはカラーだぞ。デキる。描けるぞ横山崋山。階段を下りて「花見図」これは浮世絵風の美人揃い。でも顔は京風ですな。「百鬼夜行図」これは戯画っぽい。「紅花屏風」紅餅を作る行程を屏風に。例の見下ろす構図な。北斎漫画風人物いろいろな状態が面白い。

そしてクライマックスが祇園祭を全部描く図巻「祇園祭礼図巻」だ。上下巻あわせて全長30メートルだって。町の様子から始まって、「山鉾」が次々と描かれる。いろんな場面や風景が立体で作られているもので、「山」はみこしだな。結構デカいけど。「鉾」は車輪がついた山車ですな。一つ一つ全部描いてる。鉾については、上の部分を見せて車輪はトリミングという場合も多々あるが……うーん、無駄なようだけど車輪ついてた方が気分出るな。後半になるとみこしの人々やら行列の人々も描かれて、これがもうかなりの人数。群衆じゃん。崋山晩年の超大作だ。

あとは山水画。京都を鳥瞰で描いた「花洛一覧図」が出世作らしい。このコーナーについては、そんなに極端なものはないようだ。富士山はあるけど。

解説によると、横山崋山、江戸時代はもちろん大正ぐらいまでは結構知名度があったようだ。それから日本画の研究と分類は進んだものの、様々な画風の横山崋山をどこに入れようか分からなくなってしまい、そのまま忘れられてしまった説。今回あらためて日の目を見たというわけです。簫白が好きなら、北斎漫画が好きなら、ぜひ行くべし。前期と後期で入れ替えがあるっぽい。
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201809_kazan.html

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