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2018年12月29日 (土)

ロマンティックロシア(Bunkamura ザ・ミュージアム)

国立トレチャコフ美術館所蔵のアヴァンギャルドじゃないロシア美術。レアな企画だぜっ。知らん画家ばかりだっ。時代は19世紀後半から20世紀始めの絵画ですな。

最初は「ロマンティックな風景」ってことで風景画コーナーです。春夏秋冬の小コーナーに分かれている。春……えー実はロシア旅行のツアーに行ったことがあり、ツアー付属のフォークロアショーを見たんですけど、ロシアの春が来たダンスはバカ明るいですねえ。冬が長いもんだから。で、バカ明るい絵画が並んでいるのかと思ったら別に普通だった。イサーク・レヴィタン「樫の木」なんぞ木々が丁寧に描かれていますね。夏が結構いい絵があって、ミハイル・ヤーコヴレフ「花のある静物」オレンジのフォーヴ的な梅原龍三郎的な感じ。それからイワン・シーチキン……じゃないシーシキンって人の、「正午、モスクワ郊外」おおっ、なんか雲が美しいぞ。しかも写実的なんだ。あのう、あるあるっていうか。このシーシキン、マジうめえ。奥行きのある空間と、写実的な自然の描写で魅せる。「雨の樫林」これも奥行きがあっていいですな。空気遠近法だけど不自然さがありませんな。それからニコライ・ドゥボスコイ「静寂」嵐の前の暗い雲……こりゃゲリラ豪雨前ですな。イワン・アイヴァゾフスキーこの人の色使いがなんかこう、イラストっぽいというかファンタジックというか何というか、「海岸、別れ」の日没のオレンジ、「嵐の海」の暗い中にブルーの海とか、少し間違えると品がなくなる。秋の絵は、イワン・ゴリュシュキン=ソロコプドフ(もう名前がわけわからねえ)、「落葉」落ち葉の中の女の人。グリゴーリー・ミャソエードフ「秋の朝」の落葉の写実っぷり……なに、この頃ロシアじゃ写実流行りなのか? 冬の絵はミハイル・ゲルマーシェフ「雪が降った」これも人物が写実的で、アレクセイ・サヴラーソフ「霜の降りた森」雪景色と夕焼けが組み合わさった、ちょっと超現実風の絵。うむ面白い。

次、「ロシアの人々」コーナー。要は人物画。有名人が有名人っぽく描かれているのがしばらく並ぶ。次に女性像が並んでいて、イワン・クラムスコイ「忘れえぬ女」これが、今回ポスターになっている。なんか……マネの絵だと思わせて客寄せに使ってるんじゃあるまいな。まあ、悪くない絵ですよ(たいそう高名な絵だそうですが)。馬車の上か何かですかね、画家からは見上げた角度で、女には見下ろされておる。崇拝しちゃうぞ。それより同作者の「月明かりの夜」の方がね、月光に美女ですからね、象徴派っぽいキメのテーマが冴えている。しかしだ、次のこれだ。ニコライ・カサートキン「柵によりかかる少女」一見どってことない田舎娘が立ってるだけっぽい絵だが……胸がある。何を書いてやがると言うかもしれないが、これは重要だぞ諸君。だって子供じゃないってことじゃん。男目線でイケちゃう絵だべ。ついでによく見ると、長いスカートをはいていながら膝の位置も分かるようになっている……ということは脚や腰も想像できてだな……イヒヒヒ。ま、まあとにかく、この絵は結構印象に残ったものです。これカサートキンの最高傑作の一つと言われたとか何とか解説にあったが、概ね紳士達が言うておろう。

今度は「子供の世界」ということで、子供の絵。ここはアレクサンドル・モラヴォフ「おもちゃ」ごちゃごちゃ子供のおもちゃが置いてあるが、コテコテした赤い色がいかにもロシアですな。アントニーナ・ルジェフスカヤ「楽しいひととき」女性画家だ。踊る子供。後ろ向きでも存在感あり。女性画家はたいそう少なかったそうです。ワシーリー・コマロフ「ワーリャ・ホダセーヴィチの肖像」ん? これ人体のバランスがヘンじゃね? 座ってるんだけど、どうも肘あたりで足が折れてるようだが。服のせいでそう見えるのかな?

「日常と祝祭」コーナー。日常風景っぽいの。コンスタンチン・コローヴィン「小舟にて」ボートの上で自作ポエム(かどうかは分からないがとにかく本)を朗読しているのを、彼女が聞いている。隣、イラリオン・プリャニシニコフ「悲痛なロマンス」どうだい俺の歌は? 早く終わらないかしら。という絵。ウラジミール・マコフスキー「大通りにて」出稼ぎの夫の様子を見に来たら酒飲んでアコーディオンを弾いていたでござる、という絵。なんか切ねえな。ニコライ・タールコフ「朝食」おお印象派だ。

最後「都市と生活」コーナー。ロシアの都市風景など。アレクセイ・サヴラーゾフ「領主の館のあるモスクワ近郊の風景」コローのようだな。

聞いたことない画家ばかりだが。ヨーロッパ勢と劣らんレベルなのでなかなか見れる。
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/18_russia/

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