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2018年12月24日 (月)

「終わりのむこうへ:廃墟の美術史」(渋谷区立松濤美術館)

これ要するに廃墟の絵画を集めたもの。昔から廃墟に魅力を感じる人は少なくなかったようで、今でも軍艦島ツアーとか廃墟写真集とかありますからねえ。

年代順展示で、2階から。出だしがド・ホーホ「廃墟の背景と人物」これ、よくデ・ホーホっつってなかったっけ。絵は普通。クロード・ロランかと思ったらリチャード・ウィルソン「キケロの別荘」イギリスの人ですかい。こういう理想風景っぽいのを見ると全部ロランあるいはコローに見える。意外なところでアンリ・ルソー「廃墟のある風景」素朴派とか言われて、描画が稚拙とか言われてるが、なかなかどうして、遠近法でちゃんと描いてるじゃねーか。画風もちゃんとあるし、天才的ではあると思うよ。そして廃墟の巨匠ピラネージ。もう今回はこの人の作品群がダントツで、あまり廃墟フェチっぷりに、他の人の作品が廃墟へのこだわりが足りねえなあとか思ってしまうよ。エッチング、エングレーヴィングだから版画でしかもモノクロなんだけど、そういう量産品かどうかもどうでもいいくらいの描き込みと迫力とこだわりがある。「ミネルヴァ・メディカ神殿」を見て、おや? と思ったのは「天空の城ラピュタ」で、乗り込んだところの廃墟に似てるような。もしや宮崎駿はこれを見たか? 「セッテ・バッシ荘、入口の遺構」これなんぞ奥まで遠く続いていて、スケールを感じさせる。大スケールはロマンだっ。「コロセウムの内部」これもピラネージが描くとおなじみコロッセオもひと味違いますな。ワクワクしますな。次へ行ってコンスタブル2枚。中でも「ストーンヘンジ」おお、なんか大地の中の遺跡って感じがいいぞ。がしかし、その後はどうも、ピラネージを見た後だと普通に見える。江戸の銅板画家亜欧堂田善や浮世絵の歌川豊春がいる。一応廃墟の絵なんだけど、洋画のコピーですな。ううむ、なんか盛り上がらんのう、と思ったところ、不染鉄「廃船」おおっ、東京ステーションギャラリーで個展見たぞ。この絵もあったかな。いい絵ですな。小さい家が廃船の巨大さを感じさせるね。あとはいろいろあるが、難波田龍起の「廃墟(最後の審判より)」これがなかなか。これもコロッセオだ。この人、抽象画でよく知られているが、こういう、何を描いてあるか分かる絵も描いてんだ。

地下1階へ。シュールレアリスムのコーナー。おなじみデルヴォーが並ぶ。廃墟というか古代神殿だべ。姫路市美術館から持ってきたもので、よく見かける。特に油彩の「海は近い」デルヴォーの傑作で私は好きなんだがもう何度も見ている。最初に見たのは確か寝不足ですこぶる調子の悪い時で、まるでもうそこが夢の中のようであった。マグリットも1枚「青春の泉」これは……廃墟なのか? 石碑っぽいが。デ・キリコも1枚。日本のシュール絵画の人、北脇昇「章表」うむ、もちっとシュールしてほしい。浜田浜雄「ユパス」ちょっとこれは……ダリの影響ありすぎだろ。時代はだんだん現代へ。今井憲一「バベルの幻想」なんかトリックアートっぽい。鏡の壁の建物……ってこれもう廃墟じゃないじゃん。まあ、建物であって建物でないもの、みたいな。大岩オスカール「動物園」ほう、なかなか。この人もっと大味かと思っていたが。繊細に描くじゃないか。それからもう現代になっていて元田久治の渋谷を廃墟にした絵。あと東京駅の廃墟化。これも東京ステーションギャラリーで見たよな。最後は野又穣。これも渋谷のようだ。空想的街を描いているが、この人空想の塔とか描いてた人だっけ。おお、街も描くんだ。雰囲気もなかなかだ。

というわけでなんちゅーかピラネージパネエってことで。
http://www.shoto-museum.jp/exhibitions/181haikyo/

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