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2019年2月 9日 (土)

河鍋暁斎 その手に描けぬものなし(サントリー美術館)

なんか割と最近河鍋暁斎展を見たような気がするのだが、どこだったかな……と思って調べたら、2017年にBunkamuraで見ている。
それにしても今回8期(8週)に分かれている。展示替えリストを見ると、結構いろいろ入れ替わるんだよね。今は第1週なのだ。まあ1週だけ展示ってのはさすがにないようだが……いや、画帖の別ページとかあるね。まあ奇特な方は何度も行くんだろうけど、私は多分この1回だ。見れなかったものは……それは運命よ。

入り口に映像による絵が並ぶ。中にはアニメーションになっているのものあり、それ自体作品ですね。それから第1章「暁斎、ここにあり!」だって。代表作「枯木寒鴉図」おなじみの枝に止まっているカラスだ(入り口でアニメーションになってる)。あと「花鳥図」というのが美しい……だけでなく、雉に蛇が巻き付いているという妖しい感じがまたいいね。

第2章「狩野派絵師として」となっている。狩野派も吸収しているんだお。「豊干禅師と寒山拾得図」うん、デカくていいな。ちゃんと奇想風味もあるし。「羅漢に蛇図」が大きめだが蛇が見えないが……おお、下の方にいるな。いい顔してる蛇だな。しかし今回、単眼鏡必須ですな。ガラスから絵まで距離があって、ド近眼にはキツい。「鶴図屏風」はおきまりのおなじみの感じ。「能・狂言面之地取画巻」能面をスケッチして張り混ぜ絵に。実は暁斎、結構スケッチで評価が高い……と思う。「枇杷猿・瀧白猿」……うむ、さすが猿はうまいな。「風神雷神図」空白の取り方がよい。

第3章「古画に学ぶ」文字通り、絵を描いているってことは、昔のものからもちゃんと学ぶんじゃ。特に暁斎は熱心だお。「騎牛図」……暗くて見えない。「放屁合戦絵巻」文字通りの屁の出し合いだ」いかにも暁斎が描きそうなネタだが。原典があったんだって。今回それも出ている。うむ、やっぱ暁斎の方がキレがある感じ。あとは「九相図」これは人が死んで、腐って骨になるまでのスケッチ。この世の無常に気づけよという一応仏教系の画題なのだ。九相図にも原典があり、それも出ている。暁斎の方は骨に近い場面だが、こっちは腐りかけで結構グロい。ちなみに暁斎の方は後期になると「九相図」は引っ込んで「卒塔婆小町図」になる。これもアレだな。九相図と同じ腐り画題だけど主役が小野小町ってヤツだよな。「蛙の学校」「蛙の鬼退治」というのは得意のカエルもの。「土佐大蔵少輔藤原行光画 百鬼夜行図」土佐派の原典があるものだが、河鍋風にみんな生き生きしてますなあ。「鯉魚遊泳図」は応挙風なんだって。

第4章「戯れを描く、戯れに描く」ここは戯画や席画(即興的にその場で描く)だ。暁斎得意のジャンル。「鷹に追われる風神図」おお、面白い発想じゃん。風神逃げてる。絵もスピード感があっていい。「五聖奏楽図」こいつは再会。歴史上の偉人が合奏。ブッダとか孔子とか。十字架のキリストが手に鈴と扇子を持たされているのがコミカルだ。「貧乏神図」いかにもビンボー。これも前見たな。「大仏と助六」も前に見た。「月次風俗図」月々のイベントを席画で。期間中に入れ替えがあるそうな。墨の太い線と淡い色の対比を見ていると現代アートっぽくもあるね。「念仏の鬼」は文字通りだがもとが大津絵だそうだ……ううむ、大津絵ってよく聞くけど、ちゃんとは知らんの。「新板かげづくし(天狗の踊り)」おお、シルエットでこの生きのよさよ。「鯰の船に乗る猫」これは地味だが面白いぞ。鯰が役人で猫が遊女だそうで、役人も遊女にゃかなわない。

第5章「聖俗/美醜の境界線」下の階の部屋に入っていきなりあるのが「処刑場跡描絵羽織」 ぐえっ! こ、これはマジでヤバい。思いっきり処刑されてるじゃねーか。しかも3体で、磔と首吊りと九相図の死体。これを羽織にしようってんだからなあ。もはや仏教的な無常とかと関係なくて、当時からグロいの好きでヤベエヤベエ言ってるヤツがいたんだろうなあ(「ヤベエ」という言葉ではなかったろうが)。この場面は2週しか出ないようですな。「閻魔と地獄太夫」美醜対比もの。「地獄太夫と一休」これは何度も見ている名品……っていうかバージョンがいくつかあるよな。踊る一休の顔がイケる。「幽霊図」2つ出ているが1つは首を持っていて怖い。一つはよく見る行灯で照らされているヤツ。

第6章「珠玉の名品」小品に優れものあり、のコーナーだそうで「惺々暁斎画帖」とか出ているが、「惺々暁斎団扇絵聚画帖」の花がきれいですね……ってこれ毎週場面替えじゃん。

第7章「暁斎をめぐるネットワーク」で、暁斎周辺のもの。「書画会図」は人いっぱいで、リクエストに応えきれないで断っている暁斎先生がいるぞ。それから衝立があって息子の暁雲と娘の暁翠との合作……そうか、いたのか子供が。しかも画家を継いでたのか。暁翠作がいろいろ出ていて「百猩々」なんか文字通り百の猩々が描いてあり見物だ。父親ゆずりでなかなかやりおる。

肉筆がほとんどでなかなか見応えある。毎週何か展示替えしてるもんで、出る予定のもの全てを見るためにゃあ毎週行かねばならん。いや、私は無理だが。
https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2019_1/

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