« 2019年3月 | トップページ | 2019年5月 »

2019年4月28日 (日)

櫛野展正のアウトサイドジャパン展(ギャラリーAAMO)

櫛野展正は日本唯一のアウトサイダーアートのキュレーターなんだそうだ。これまでアウトサイダーアートというと概ね心身にハンディキャップのある人のアート作品とかで、その内容も玉石混淆。技術もインパクトもあるヤツもいれば、うまくもおもしろくもないものもある。という感じ。この方面のキングであるヘンリー・ダーガーがかなりメジャーになったので、つまらんものは淘汰されて全体にレベルアップしたかもしれない。結局競争はあるのだ。
で、今回の展示は、単にハンディのある人だけじゃない。また、美術教育を受けていない人、とも限らない。チラシに曰く「人生をかけるほど熱狂するものを見つけた人たち」だそうだ。普通の美術展には出てこない「かなりのヤツラ」に出くわせる。

コーナー別に分かれている。数が多いもんで全部は書けないが、印象に残ったのを適当に選んで書くと(当然他の人が見れば他の人なりの感じ方がある)、最初に「憧れ」コーナー。けうげけんって人の架空のお笑い世界。お笑い芸人とそのネタを全員作っているというスゲエもの。映像もあるか面白いんだかよく分からない。伊藤輝政はデコトラの工作。レベルは高いよ。「異形」コーナー。ラーテルさん(あなぐまハチロー)。こりゃムンクレベルのパワーがある絵画だ。精神にハンディがあったかな。稲村米治。昆虫(甲虫)びっしりの立体像。げげっ。八木志基、怪獣の絵。ストレンジナイト、仮面世界。人生も仮面っぽかったそうで。工藤千尋。女体のオブジェみたいなもの。どこかで見たかな。いわゆる現代アート風。「描く」コーナー。岩崎風水、刑務所の絵。割と普通。戸谷誠、女性を描いた巻物とか。普通にうまい。大竹徹祐、テレビの画面とかを小さい絵にする、あと芸能人とか。凝ってるね。菅野武志、似顔絵コインランドリーだったかな、似顔絵は普通にうまい。原夕希子。「ゆびふし」とかいう指の一部みたいなのがびっしりの絵。キモいがよくできてる。あと小さい丸でびっしり埋めるヤツも狂ってて見事じゃ。ガタロ、雑巾がいっぱい。世那覇俊、あのうなんかカラフルで細かくてね、ブツブツみたいな顔の人がいるの。次は新子、いろいろハンディがあるようだが、線描画のパワーは相当なものだ。特に大きい絵。これは普通の現代美術展でもイケると思うぞ。この企画で誰か一人を選ぶとすれば、俺はこの人だな。

「家族」コーナー。深沢佳那子の家族4人の凝った年賀状。やるな。国谷和成・みよ子、折り紙のブロック折りとかいうのがあるそうで、外装をそれで埋め尽くした動物とかの立体。きめが細かい感じでよくできてる。「楽園」コーナー。遠藤文裕のスクラップブック。うむ楽園だ。「廃材」コーナー。椿八郎。紙パック帽子、楽しいねえ。今井豊一、手作り風車。動いてるよ。ここで18禁コーナー「エロス」、マキエマキ、エロ自撮り、なんと山頂で貝ビキニとかやってる。スゲエなオイ。糸井貫二、具体あたりアーティストらしいが、脱いじゃうパフォーマンス。泥沼毒生、サディズム画、稚拙なテクが返って怖い。塙興子・河合良介これがナイス親子(当人は大変みたいだが)、河合良介が人物を激痩せにした絵を密かに描いていて、それを見つけた娘の興子がショックを受け、自分もエロと細密の絵を描くようになる。どっちもヤバい。親子共演。城田貞夫、からくり人形、なかなかエグい顔してる。エロオブジェもあり。向井東冥、性研究だそうだがよく分からない、研究本ともエロ本ともつかんものが置いてある。

18禁を抜けて「過剰装飾」コーナー。宮間英次郎ド派手帽子。しかしなんたって、みやび小倉本店。貸衣装屋、金ぴか、何か? あの悪名高きド派手成人式御用達だっ。おお、ここが総本山だったのか。写真がある。気分はもうドキュン。しかしここまでキメて並んでいると一種の様式美がある。スゲエなこの店。よくやるなあ。次に「老人芸術」このコーナー以外にも結構年輩の方の作品は多い。一つ栁恋路、蝉の抜け殻ビッシリアート、ここも虫ですかい。秋月聖徳太子、名前はアレだけの木の立体(そういや秋山祐徳太子ってアーティストがいたな)。「フェイク」コーナー。松崎覚、蝋人形。うわそっくりじゃん。スギノイチヲ、おっさんが芸能人とかに変装してる写真……こ、これ似てるじゃん。藤田嗣治なんてのもある。あっ!きのこ(という人)、B級かぶり物……うん。オモローだ。三浦和香子、フェルトで作る食品サンプル。うまいがフェルトだ。最後「ヘアサロン」コーナー、結構ヘアサロンの人が多いとかで、藤堂正之、踊りながら髪を切る面白パフォーマンス。黒滝武蔵、提灯、大きい、普通にうまい。一ツ柳外史春、海上と海中が一緒にあるジオラマ。見応えがあるね。それから会場を出て杉作J太郎……ううんと、名前は聞くのだが、思いついた言葉をサクッと書くカジュアル書道。あ、オレも書き初めやってたがそのパターンだな。楽しいよな。「ゲロ温泉」とか書いたりした。

表現の幅は広い。行けば何かしらインパクトを受けるものに出くわすであろう。
https://www.tokyo-dome.co.jp/aamo/event/kushino2019.html

|

2019年4月24日 (水)

ユーモアてん(21_21 DESIGN SIGHT)


アートディレクター浅葉克己ディレクション。ユーモアっていうぐらいなんで、笑えるのがあるのかな? まあ笑えるだけがユーモアではないのだが、概ねそういう方向な感じで。

入るといきなり卓球の音が聞こえる。見ると何かケッタイな色を塗った卓球台がある。ダミアン・プーランって人の。やりたい人は自由に遊べる。浅葉は「一人ピンポン外交」というのをずーっとやっていて、世界のいろんなところで、いろんな人と卓球をやる。そのレポートが卓球の雑誌に載っていて、それも展示している。ボリュームがあるんで全部は読み切れん。この企画での卓球大会もある模様。オレは元卓球部だ……もう何十年もやってねえが。しかし場所柄外人客多いな。浅葉氏、南京玉すだれもやっている模様。南京玉すだれって、名前は知っているが見たことないような。おっと動き出しそうな人形がある。それからクリヨウジ(九里洋二)のアニメ。「LOVE」は女が「アイ」と言いながらひたすらシュールに男を追いかける。60年代風。あとコレクションみたいなのがいろいろあって。壁にポスターがあって、目立つのは巨匠、福田繁雄。けったいなコーヒーカップ、文房具、不可能な図形の立体化。分かるかい「ネッカーの立方体」。あと平行四辺形に歪んだテレビ。さすが巨匠。やっぱアートとユーモアではキングの風格がある。

「ネッカーの立方体」 撮るの難しいな>
P_20190421_143715  

広い空間に入る。ジョン・ウッド&ポール・ハリソンって人達……なんか妙な名前だな。ジョン・リンゴ&ポール・ハリソンじゃねーのかい(なんのこっちゃ)。それはさておき、その二人のベースとドラム。妙に単調にやってるやつ。あ、シモン人形があるぞ。機械少女。もうちょっと機械が複雑だと萌える。金子國義の少年。またクリヨウジのアニメ。部屋でいろいろ起こる。これもシュールなやつ。この人のアニメは浅葉のツボのようで、クリヨウジアニメはもう一ヶ所ある。概ね大人向けで、深夜番組なんかで流れていたものっぽい。コラージュを使っているヤツは、ちょっとモンティ・パイソンのアニメにも似てるな。川上典李子の「ルーペの節穴」ルーペの中にルーペの形の穴がある。うむ、これは面白いな。18禁の部屋あり。ユーモアといえば笑い、江戸時代の「笑い絵」とは春画のことだ。なもんで春画が並んでいる。江戸のすっきりした男女の絵の局部んところだけ何かグロい生き物がいる感じでハハハ……春画を絶賛する人もおるが、オレは正直これ美しいとは思えんのだがね。あとシモン人形の全身のやつ。あと誰だっけ……覚えてねえ(出品リストがないもんでな)。18禁の部屋を出て、立石大河亞。ユーモア油彩。大きいぞ。シュールレアリスムコーナー。瀧口修造……なんかただのシミみたいなんだが。ロン・アラッドの、ポスターにもなってる。めがねをかけたガラスの器。めがねめがね。和田誠描く似顔いろいろ(あまり見てない)。おっとアンティークみたいな椅子があるので疲れた座ろうと思ったら展示作品だと。みんな座って注意されてる、何の何だか分からんが。そしてまた福田繁雄、傑作「アンダーグランドピアノ」どう見てもピアノ風のガラクタが、鏡に写るとなぜかちゃんとしたピアノに見えるトリックアート。どうなってんだがサッパリ分からぬよ。最後にまたジョンとポールの映像作品……部屋を移動していく……どっかで見たんだよね。どこだったかな。

「アンダーグランドピアノ」 最強>
P_20190421_145218  

あえていろいろごちゃごちゃな感じで展示しているので、堅くならずに見ていける。ほぼ撮影できる。普段撮影やらないけど今回はやっちまったい。ま、この内容ならいいだろ。
http://www.2121designsight.jp/program/humor/

|

2019年4月16日 (火)

ギュスターヴ・モロー展(パナソニック汐留美術館)

パリのモロー美術館には行ったことあるんですよ。元住居だから広くはないんですね。でも絵がっぎっしりで。パンフレットに日本語があったが、左右逆で、あれはもう直ったかな。で、その所蔵作品から出ている。
「サロメと宿命の女たち」ってサブタイトルだからよ、こりゃもう期待大ってもんでしょ。モローお得意の女性像ですぜ。
が、しかし、オレの経験上、モローは傑作とそうでないものの差がデカい、なんていうか、駄作は雑なのか、いや雑と言っちゃ悪いな。ラフすぎるのか。でも、ラフでも雰囲気が感じられるんで、かえってタチが悪い。この雰囲気のままアナタバッチリ描けるでしょうに、とか思うと見ていてフラストレーションが溜まってくるのです。

最初に24歳の自画像とかあり、結婚はしなかったが30年つきあってたとかいう、アレクサンドル・デュリューのスケッチとかあり、まーでもこのあたりはなんかどうでもよくて、やっぱし次の油彩の「パルクと死の天使」それこそラフで顔も判別せんが、厚塗りで雰囲気もある。いや、いいですよこれ。それからいよいよサロメもの登場。「洗礼者聖ヨハネの斬首」という別に女性がいる感じでもない絵があり、「踊るサロメ」これは下絵っぽいが、これも雰囲気がいい……んだけどよ、これの完成作の写真が小さく出ているのだが、なんだ、すげーじゃねーかよ。下絵でこれを察してくれというつもりなのか、あるいは完成に至る源泉をありがたく見よというのか、いずれにしても完成作が見れないっていう時点でフラストレーションが大いに溜まっちまう。あーそうそう、だいぶ前にBunkamuraだったか、「アンドリューY.S.」展があってだな、あれも下絵&完成作写真の大量展示だった。美術展に罪はないし、下絵集めてくるのだって十分労力はかかっているだろうけどフザケンジャネーヨとしか思わなかった。客はワガママなのだ。まあいいや、「踊るサロメ」は一応それ単体のやつがある。あと目玉作品の一つ「出現」。首が浮いているやつね。背景の線描は最晩年に描き加えたんだって。でもちょっと余計な感じだなあ。あとサロメもの下絵いろいろ(割とどうでもいい)。さすがに下絵ばかりで申し訳ないと思ったか、ここで思い切ってババーンとサービス。「サロメ」油彩、全裸、全身、正面向いている。肌白い。きれい。うひょ~♪ ……いいんだけどね、なんか通俗的でモローらしくねーよ。サービスしすぎじゃねーか(文句が多い客だな)。

サロメ以外の宿命の女たちのコーナー。「トロイアの城壁に立つセレネ」空を背景にしたセレネね、いいですよね。ラフでなけりゃ。これも下絵だって、完成作は行方不明だって。探してくれ。「メッサリーナ」も雰囲気だけ感じられるラフなヤツと、あと、ありがたいことに水彩がある。実はモローは油彩よりも水彩に向いていると思っているんですがね。ラフさと繊細さと色彩が、水彩にぴったり合っている感じ。「死せるオルフェウス」竪琴を弾くイケメンが無惨すぎ。顔ないし。「ヘラクレスとオンファレ」ちゃんと描いてある油彩。でも若描きだそうで、言われてみればそんな感じ。「セイレーン」あーこの夕日がいいですねえ。そして3人のセイレーン。モローは空を使った演出が冴えているよな。「レダ」うむっ、白鳥とキスしてるヤツ。色も深く妖しくキマっている。ヤバさ満点。ナイスな絵ですよ。でももうちょっと顔をちゃんと描いてくれ。いや、雰囲気があるから顔など適当でいいと思っているのか、顔をちゃんと描くとかえって雰囲気が壊れると思っているのか知らないが。やっぱ人間顔だよなあ。「セメレ」なんかこれもラフだなあと思ったら。モロー美術館にある「ユピテルとセメレ」の下絵……というかそれ以前の構想絵じゃないか。映あとの像で「ユピテルとセメレ」が出ていたが、超スゲエ絵だ……現地で見たっけ?(覚えていない) 「エウロペの誘拐」これもちゃんと描いてる。そこそこ。「デイアネイラの誘拐」うーん、水墨画でも見たのか? 「サッフォー」サッフォーが身投げしてるところ。サッフォーはLGBTのLだと思ったら実はBだったらしく。最後は男にフられて身を投げたんだそうです。にしても竜宮城の乙姫様みたいな感じだな。なんか東洋風。

最後は一角獣のコーナー。「一角獣」はさすが代表作的雰囲気。丁寧だしちゃんと描いてある。でも未完らしい。そうは見えないが。次の「一角獣」も乙女とツーショットな。顔は普通。「妖精と具グリフォン」これも水彩があって水彩の方がいい。

いやー会場は小さいし大きな期待はできないが……でも、そんなに悪くないぞ。モローはラフなヤツでもそこそこイケるんで。あと入場料も1000円とお手頃だしな。
https://panasonic.co.jp/ls/museum/exhibition/19/190406/index.html

|

2019年4月 8日 (月)

ラリック・エレガンス(練馬区立美術館)

ユニマットコレクションだそうで、ほう、あの会社は、そんなにラリックを持っているのか。

ラリックはおなじみのガラス工芸の前にジュエリーをやっていたそうで、まずそれらが出ているのです。「アール・ヌーヴォーの宝飾」というコーナー。ところでエナメルって七宝なんですってね。初めて知りましたな。「ペンダント/ブローチ《ケシの女》」このケシに囲まれたガラス(半透明)の顔が実に美術品~(?)。「ペンダント《スミレの女》」も金属系のジュエリー。かように宝石の価値ではなく、デザインで魅せる時代になったんだって。「扇と櫛《落ち葉》」獣角(ようするに獣のツノ)を使っている。櫛はともかく扇はなんだか重そうですな。「ペンダントヘッド《松の枝》」のミニ松ぼっくりがキャワイイ。「ブローチ《スカラベ》」書いてないけどスカラベってフンコロガシだぜ。転がすのが天体の運動みたいたってことによる神秘の昆虫だ。ブローチの中央はスカラベの本物か? その左右に小さい工芸品のスカラベちゃん。あとはドローイングやテストピースあり。

ジュエリーはここまでで、いよいよ「アール・デコのガラス」コーナー。香水瓶の注文で量産できるようになった。あと量産品にするなら、アール・ヌーヴォーのテンコ盛り自然物じゃなくて、もっとシンプルデザインのものがいいってんで、そういう方向でやり始めた。アール・デコが誕生しつつあーる。「花瓶《蓮の花》」はオレンジがかった描線が魅力的。自然デザインだけど洗練された模様でゴテゴテしてない。「デカンタ瓶《6人の人物》」も直線的デザイン、その中に女性像。「大型球形花瓶《キヅタ》」これは雰囲気はヌーヴォーっぽいが、やっぱりちょっと違う。それより次のオパルセントガラスの作品が驚く。このガラス、乳白色で、光の反射で青みがかってみて、光の透過ではオレンジがかって見えるというおもしろ材料。「平鉢《カリプソ》」はその性質を最大限感じられる女性像がデザインされた噐。裸婦に光が当たって見える。こりゃ凄い……いや確か前に見たことあるが、あらためて見て凄いな。ラリック展でよく見る裸婦が立って布広げてるやつ「立像《シュザンヌ》」と「立像《タイス》」、これもオパルセントでしたな。うん、よくできてる。女性像が見事なもので、それ以外のものを見ると普通だったりする。

階を上がって、1925年のパリ万博でラリックが活躍。デカい噴水を作った。そこで女神像が大量に作られて使われた。それがいくつか出ているが……なんか縦長の女神ね。噴水の写真も出ている。あと、その時の日本館が……ただの2階建て日本家屋じゃねーか。なんかダセエーっ……まああっちの人から見ればエキゾチックジャパンかもしれないが。それからいよいよ本領発揮でアール・デコの花瓶なんかが並ぶ。「花瓶《つむじ風》」ガラスたっぷりの重量感、シンプルにして強力なデザインがイケる。型で作ってるが、厚みの差があるんで冷やすのが難しいんだって。急に冷やすと歪んで壊れちゃう。他にも「花瓶《蛇》」なんてのも、赤っぽい色で蛇が花瓶に巻き付いているようなデザインで、ウロコはリアルだが顔が器に埋まっている(貼り付いてるのか)。「花瓶《オラン》」女性像じゃないがオパルセントガラスの魅力がなかなか感じられる。

それから「化粧道具。香水瓶、アクセサリー」コーナー、うーん、花瓶とか見ちゃうとこっちは微妙かなと思ったが、「化粧セット《ダリア》」いいですな、花の感じが。あと「香水瓶《カシス》」というのがティアラ型のガラスが乗っている瓶で、ランプ「大型常夜灯《日本のリンゴの木》」にも応用。あと「照明、置物、置時計」コーナー。「電気置時計《2人の人物》」ガラス女性像の魅力を出しながらも、電池で動く電動ムーブメントで当時の最先端だった模ようです。やるな。「テーブルセンターピース《鳥の巣》」は下からの照明が見事にキマる。

「文具」にも手を出したので、インク壷とか印章とかある。文具じゃないけど灰皿がいくつか出ている。いやー、現代の禁煙嫌煙指向からすると灰皿が立派な美術品というのも時代を感じさせますねえ。それからテーブルウウェアがあってグラスセットとか、東京都庭園美術館が元なんとか邸で、そこにラリックが関わったが、テーブルウェアも作った。なんか見たことがあるよな。それから「カーマスコット」がいろいろ。おお、これも今は無いですなあ。車の先端のラジエーターキャップに付けてた飾り。有名な「勝利の女神」ガラス製で髪をなびかせ……っていうか後ろにスパーッって感じだが。他のも「彗星」とか「大トンボ」なんてのが、走行のスピードを感じさせるデザインじゃん。最後に晩年の噐群。「花瓶《蝶》」の4つの羽状のガラスが面白い。

解説が豊富で分かりやすく見ることができるぞ。
https://www.neribun.or.jp/event/detail_m.cgi?id=201810241540347937

|

2019年4月 6日 (土)

ラファエル前派の軌跡(三菱一号館美術館)

ラファエル前派だけではなく、その前後とか周辺とかも一緒の企画。場所が場所なもんで、小ぶりの作品が多いようですな。ラファエル前派同盟ってのがラファエロより前を見習おうぜというイギリスの美術同盟だって。イギリスだから「ラファエロ」も英語読みにして「ラファエル」にしてるんだぞ。

最初に同盟じゃないんだけどターナーが出てくる「ターナーとラスキン」コーナー。ジョン・ラスキンというのが素描を描く人で、思想家で美術評論家で同盟に影響を与えててユーチューバーそりゃヒカキンじゃーん……という人がターナーを見いだした。ターナーは現代抽象美術のセンスにも通じるオーパーツみたいな絵を描くナイスガイだ。そのターナーの水彩。「ナポリ湾(怒れるヴェスヴィオ山)」うーん画題は普通ながらなかなか現代的。「ブレンヴァ氷河も」考えるな感じるんだ系だよな。しかしやっぱり油彩の「カレの砂浜-引き潮時の餌採り」これは、なんか、スゴい。雰囲気がダリとか超現実っぽい……いや現実風景なんだけど、印象派っぽくもあるしシュールレアリズム絵画みたいでもある。ほら右側の人々とか、左の建物っぽいものとか超現実風味があるよな。それからラスキンの素描いろいろ。鉛筆とか水彩とかで、山が多いな。あと建物も多いな……数も多いな。あのぅ、ラファエル前派の「あれらの」絵はいつ始まるんだ?

と思ったらお待たせしました。大きな展示室で「ラファエル前派」コーナー。やったぜ。おなじみロセッティだお。しかもこの部屋のものだけ全部「撮影可」やったー! ……やらねえよ! オレはスマホもカメラも持ってないし撮る気もねえっ。フロア全部撮影可ってなんだよ。1枚か2枚でいいじゃねえかシャッター音がうるせーんだから。こう書くと「海外の美術館は大抵撮影可ですよ。日本は遅れてるんです」なんて言うヤツが出てくるんだが、バカヤロウ海外美術館の広大なフロアの閑散とした常設展と、狭い展示室で人がイモアライになってる日本の企画展を一緒にすんじゃねーっ! こっちはミュシャの「スラヴ叙事詩」でイタい目見てるんだぞ。だいたい撮影可で無邪気に煽っているヤツは大して絵を見ていないインスタ蠅か、参加者限定の内覧会でウマウマと見てるヤツだろ。こっちは身銭切って……まあいいや先進もう。巨匠ジョン・エヴァレット・ミレイ「滝」……小さいな。大きいのがない。ウィリアム・ホルマン・ハント「甘美なる無為」女性……だよな。男みたいだけど。同じくハント「誠実に励めば美しい顔になる」これは女だ。ロセッティが何枚もある。美女が多いぞ。しかーし……最近分かったが、私ロセッティがちょっと苦手なんだ。なんでか? いやラファエル前派自体で、割とそういうの多いんだけどさ……特にロセッティの美女って、男の顔してねえか? 少なくとも美男としても通じる感じだよなあ。そーなると、なーんか変なアンドロギュノスみたいに見えちゃって……どうにも萌えられない。「ムネーモーシュネー(記憶の女神)」も美女ですけどね……おいそこのジジイ、同じ絵を何枚もカメラで撮るんじゃねー。1枚にしろようっせーな。「ウェヌス・ウェルティコルディア(魔性のヴィーナス)」これもなあ、普通なら甘美にして官能的にして萌え萌えの絵なんだが。顔がなあ……男顔だよなあ。そんなわけで見応えあるところだけど、私的にはまあまあ。

フロアを移動してアーサーヒューズ「マドレーヌ」「音楽会」「リュートのひび」いずれも美女中心。この頃の英国美女なんで、やっぱり若干の中性っぽさがあるが、でもロセッティよりだいぶんマシだべ。あとは風景と静物かー、どーでもいーなー ジョン・フレット「リンドウの習作」青い花。なかなかリアルだが。コーナーは「ラファエル前派周辺」になった。ウィリアム・ヘンリー・ハント(さっきのホルマン・ハントと違うんだな)「ヨーロッパカヤクグリ(イワヒバリ属)の巣」……なんじゃこりゃ! これは写実だっ!
 しかも相当のヤツ。ヘンリー・ハントは「鳥の巣ハント」と呼ばれたそうで、得意技。いや、まじこの鳥の巣の描画はすごい、イソエもビックリのリアルさだ。ジョージ・フレデリック・ワッツ「エンディミオン」そうそうこれこれ、ラファエル前派にして象徴派っぽい演出がかかった意味ありげなヤツ。しかも女の肌は青白い。神秘的だ。フレデリック・レイトン「母と子(サクランボ)」癒し系の1枚。ウィリアム・ダイス「初めて彩色を試みる少年ティツィアーノ」文字通りあの画家の少年時代を想像。

階を移動、「バーン・ジョーンズ」コーナーということでバーンと並んでいる。まあとりあえず大きめな「慈悲深き騎士」かな。甲冑黒くて重そうですな。「『怠惰』の庭の巡礼者と踊る人たち」列をなして裸踊り……いや、いい絵なんだけどね。「ペレウスの饗宴」顔がみんな同じだな。それからフロアを移動して、まだジョーンズ。「三美神」おお、なかなか。美女3人すらっとしていていいじゃないか。「赦しの樹」大きめ、男女裸、濃い顔、安定のヤツ。これポスターに使われたヤツだったかな。

ウィリアム・モリスのコーナー。アート・アンド・クラフツ運動の人。モリス描く「アルテミス」がなかなか珍しい&人物得意じゃないのかちょっとユルめ。がんばっているが。あとはおなじみデザインもの。ソファもあるよ(座れない)。モリス・マーシャル・フォークナー商会のデザイン画いろいろ。最後の方にモリス商会の「ポーモーナ(果物の女神)」タペストリです。バーン・ジョーンズとモリスがデザイン。なかなかイイネ。遠目で仏画かと思っちゃった。背景がさすがモリス。モリス・マーシャル・フォークナー商会のもの生活に入れようアートものいろいろ。

いわゆる「ラファエル前派」だけはなく、ちょこちょこいろんなものが見れるぞ。
https://mimt.jp/ppr/

|

2019年4月 1日 (月)

六本木クロッシング(森美術館)

今時のアートが集合。「つないでみる」というテーマで、「テクロノジーと」、「社会と」、「ふたつのものを」つなげるのがキーワード、だそうで。にしてもムーミン展もピクサー展もこれからなんですいてる……と思ったら外国人観光客がよく目につく。

飯島雄大から。巨大なピンク猫で幕開け。この猫は口が「A」なんで、元はアスキーアートかな。他は写真っぽいの。次は佃弘樹。デジタルイメージのコラージュだそうで、モノクロ。でも色鉛筆とか使っているようだが。

次が私が最も興味を惹かれたもの。土井樹+小川浩平+池上高志+石黒浩+ジュスティーヌ・エマール「機械人間オルタ」。顔が人間っぽいロボットの映像。しかし動きが妙で声も出すがキーキー言うだけ。でも何かの生物的な異様さを感じる。池上氏が複雑系と人工生命の研究者。そうっ! あのっ! 複雑系! かつてセルオートマトンが、ライフゲームが、8ビットパソコン画面内で開花させた生命と自然界の気配だぜっ。その後も人工生命のCGなどは作られ、微生物だったり樹木だったりしたが、なんかあまり進まず、21世紀に複雑系は消滅したかに見えた。しかし死んでいなかった。ロボット工学が進み、ここに人型ロボットを持ってきたのである。複雑系の処理を組み込んだロボットはインテリジェンスなAIスピーカーとは全く違う幼児性のような不可解な挙動をする、しかし、そのプリミティブな生命っぽさにおいて、こじゃれたAIスピーカーよりもなんか生々しくはないだろうか。これを映像作家のエマールが撮ったというわけだ……以上のごとくアートっきゃ見ていない人にゃ書けないことが書いてあったりするのが等ブログの魅力かと思いますが、これで読者が増えるってもんでもないよな。

青野文昭。「修復」として、落ちてるガラクタを集めて再構成。なんか、よくある感じもするが、見るとタンスとベンツかこれは。榎本耕一。絵画です。「この世の終わり」の女体にモザイクがかかってる……ってもちろんモザイクがかかっているように描いているのだ。山内祥太、半球スクリーンに映像……すまん、あまり見てない。林千歩。「人工的な恋人と本当の愛」アンドロイド風の人形と一緒に映画「ゴースト」の例のシーンごっこ。流れる歌は本人歌唱。壁に下着の祭壇。(自分の?)おしりの絵。要するにエロい。いすにアンドロイド男が座っていて、前の机のモニターに、これまたエロい本人映像。解説も特に無いんで適当に解釈するしかないんだが、要はこのアンドロイドに「その気」になってほしいんで誘ってる……んだけど、人間ならともかくこのアンドロ男は映像見ていない。興味なさそう。要は片思いってわけ。でもホンモノなんだぞ。

磯谷博史、柱にチェーン巻いてるのと、床に置いたガラス照明っぽいもの。次は目、……いや「目」ってグループ(だよね)。部屋いっぱい使って「景体」というインスタレーション。海上の波の造形。デカい。でも動かない。一瞬をとらえたのだ。結構リアル。でも動かないのがもどかしい。いやしかしこれは、どこかで似たようなのを見たぞ。あれは空気と薄い布を使って海面風の大きなエリアが動くようになっていた。どこで見たんだっけな。次の花岡伸宏……木材立体とメモってあるが、うむ、どんなんだったかな。アンリアレイジ。一室でインスタレーション。形が変化する素材のドレスとのことだが……よく分からぬ。それよりスマホのフラッシュで変わった色が見れるらしいが、わしゃガラケーじゃ。タブレットはあるが……いや、ないよロッカーに置いてきたんだ。でも確かフラッシュ機能なんかなかったぞ。

次は毒島凡太朗。社会派作品。イイネ。台湾はかつて日本領だったそうで、その当時の日本の歌などを覚えているお年寄りたちに歌など歌ってもらう。それだけじゃない。学生服(とセーラー服)姿で「仰げば尊し」……うむ、いろんな意味ですげえ。その姿にさせちゃいますか。それから「あっち」という作品。311もの。避難所のワークショップで作ったお面をかぶって故郷を「あっち」と指す。お面というのが素顔(表情)を想像するしかなく、なかなか怖い。竹川宣彰。猫もの。「猫オリンピック:開会式」は壮観。なんたって猫陶器人形1300匹以上の競技場風景。他も猫もので風刺っぽい要素があるらしいがよく分からん。今津景、ネット上の素材でコラージュ……うむ多いなこういうの。田村友一郎「MJ」そう、マイコーだ。マイケル・ジャクソンが来日時に北区の児童施設を訪問したとかで、そこの舞台と現地(つまり聖地)映像と、ムーンウォークにちなんでアポロ計画の映像と、気がつかん人もいたと思うが月面カーペット。あと解説ビデオ……マイコー本人の映像はない。にしても最近マイコーの児童虐待の噂が飛び交っているので、どうも複雑な感じがする。川久保ジョイ、ナスダックの予想グラフをもとにした平面作品。佐藤雅晴、意味ありげな場所で電話だけが鳴ってる映像。

前谷開、カプセルホテル宿泊時に買いた作品とか、そこで撮ったセルフヌード写真とか……本当にマッパじゃねえか(ブツは隠してあるが)。カプセルホテルって泊まったことないんだが。通路とカーテンで仕切られているだけなのか? そこでマッパか。万代洋輔、不法投棄されたものを拾って立体にして写真撮ったの。津田直子、鏡の国のアリスもの。チェスボードの上を歩けるが、鏡とフレームとモニターが入り交じって自分が鏡に写ったりモニターに写ったりとちょっと不思議気分で面白い。もちっとスケールがデカくてもいいかな。前田征紀、和紙の抽象画っぽいもの。土屋信子、デカい皮膜。ストロベリーアイスクリームの細胞だとか、いや、この手合いは、表参道で見た、人間の皮を培養して作った革製品ってのがインパクトデカかったからなあ。杉戸洋、扉みたいなデカい立体。ヒスロム、どこぞの建物の貯水池に行って、木材を置いてきて、5年後に回収した。その木材を展示。5年もの。ビデオもあったがよく見てないや。

これで終わりだ。見応え十分。
https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/roppongicrossing2019/index.html

|

« 2019年3月 | トップページ | 2019年5月 »