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2019年4月28日 (日)

櫛野展正のアウトサイドジャパン展(ギャラリーAAMO)

櫛野展正は日本唯一のアウトサイダーアートのキュレーターなんだそうだ。これまでアウトサイダーアートというと概ね心身にハンディキャップのある人のアート作品とかで、その内容も玉石混淆。技術もインパクトもあるヤツもいれば、うまくもおもしろくもないものもある。という感じ。この方面のキングであるヘンリー・ダーガーがかなりメジャーになったので、つまらんものは淘汰されて全体にレベルアップしたかもしれない。結局競争はあるのだ。
で、今回の展示は、単にハンディのある人だけじゃない。また、美術教育を受けていない人、とも限らない。チラシに曰く「人生をかけるほど熱狂するものを見つけた人たち」だそうだ。普通の美術展には出てこない「かなりのヤツラ」に出くわせる。

コーナー別に分かれている。数が多いもんで全部は書けないが、印象に残ったのを適当に選んで書くと(当然他の人が見れば他の人なりの感じ方がある)、最初に「憧れ」コーナー。けうげけんって人の架空のお笑い世界。お笑い芸人とそのネタを全員作っているというスゲエもの。映像もあるか面白いんだかよく分からない。伊藤輝政はデコトラの工作。レベルは高いよ。「異形」コーナー。ラーテルさん(あなぐまハチロー)。こりゃムンクレベルのパワーがある絵画だ。精神にハンディがあったかな。稲村米治。昆虫(甲虫)びっしりの立体像。げげっ。八木志基、怪獣の絵。ストレンジナイト、仮面世界。人生も仮面っぽかったそうで。工藤千尋。女体のオブジェみたいなもの。どこかで見たかな。いわゆる現代アート風。「描く」コーナー。岩崎風水、刑務所の絵。割と普通。戸谷誠、女性を描いた巻物とか。普通にうまい。大竹徹祐、テレビの画面とかを小さい絵にする、あと芸能人とか。凝ってるね。菅野武志、似顔絵コインランドリーだったかな、似顔絵は普通にうまい。原夕希子。「ゆびふし」とかいう指の一部みたいなのがびっしりの絵。キモいがよくできてる。あと小さい丸でびっしり埋めるヤツも狂ってて見事じゃ。ガタロ、雑巾がいっぱい。世那覇俊、あのうなんかカラフルで細かくてね、ブツブツみたいな顔の人がいるの。次は新子、いろいろハンディがあるようだが、線描画のパワーは相当なものだ。特に大きい絵。これは普通の現代美術展でもイケると思うぞ。この企画で誰か一人を選ぶとすれば、俺はこの人だな。

「家族」コーナー。深沢佳那子の家族4人の凝った年賀状。やるな。国谷和成・みよ子、折り紙のブロック折りとかいうのがあるそうで、外装をそれで埋め尽くした動物とかの立体。きめが細かい感じでよくできてる。「楽園」コーナー。遠藤文裕のスクラップブック。うむ楽園だ。「廃材」コーナー。椿八郎。紙パック帽子、楽しいねえ。今井豊一、手作り風車。動いてるよ。ここで18禁コーナー「エロス」、マキエマキ、エロ自撮り、なんと山頂で貝ビキニとかやってる。スゲエなオイ。糸井貫二、具体あたりアーティストらしいが、脱いじゃうパフォーマンス。泥沼毒生、サディズム画、稚拙なテクが返って怖い。塙興子・河合良介これがナイス親子(当人は大変みたいだが)、河合良介が人物を激痩せにした絵を密かに描いていて、それを見つけた娘の興子がショックを受け、自分もエロと細密の絵を描くようになる。どっちもヤバい。親子共演。城田貞夫、からくり人形、なかなかエグい顔してる。エロオブジェもあり。向井東冥、性研究だそうだがよく分からない、研究本ともエロ本ともつかんものが置いてある。

18禁を抜けて「過剰装飾」コーナー。宮間英次郎ド派手帽子。しかしなんたって、みやび小倉本店。貸衣装屋、金ぴか、何か? あの悪名高きド派手成人式御用達だっ。おお、ここが総本山だったのか。写真がある。気分はもうドキュン。しかしここまでキメて並んでいると一種の様式美がある。スゲエなこの店。よくやるなあ。次に「老人芸術」このコーナー以外にも結構年輩の方の作品は多い。一つ栁恋路、蝉の抜け殻ビッシリアート、ここも虫ですかい。秋月聖徳太子、名前はアレだけの木の立体(そういや秋山祐徳太子ってアーティストがいたな)。「フェイク」コーナー。松崎覚、蝋人形。うわそっくりじゃん。スギノイチヲ、おっさんが芸能人とかに変装してる写真……こ、これ似てるじゃん。藤田嗣治なんてのもある。あっ!きのこ(という人)、B級かぶり物……うん。オモローだ。三浦和香子、フェルトで作る食品サンプル。うまいがフェルトだ。最後「ヘアサロン」コーナー、結構ヘアサロンの人が多いとかで、藤堂正之、踊りながら髪を切る面白パフォーマンス。黒滝武蔵、提灯、大きい、普通にうまい。一ツ柳外史春、海上と海中が一緒にあるジオラマ。見応えがあるね。それから会場を出て杉作J太郎……ううんと、名前は聞くのだが、思いついた言葉をサクッと書くカジュアル書道。あ、オレも書き初めやってたがそのパターンだな。楽しいよな。「ゲロ温泉」とか書いたりした。

表現の幅は広い。行けば何かしらインパクトを受けるものに出くわすであろう。
https://www.tokyo-dome.co.jp/aamo/event/kushino2019.html

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