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2019年4月16日 (火)

ギュスターヴ・モロー展(パナソニック汐留美術館)

パリのモロー美術館には行ったことあるんですよ。元住居だから広くはないんですね。でも絵がっぎっしりで。パンフレットに日本語があったが、左右逆で、あれはもう直ったかな。で、その所蔵作品から出ている。
「サロメと宿命の女たち」ってサブタイトルだからよ、こりゃもう期待大ってもんでしょ。モローお得意の女性像ですぜ。
が、しかし、オレの経験上、モローは傑作とそうでないものの差がデカい、なんていうか、駄作は雑なのか、いや雑と言っちゃ悪いな。ラフすぎるのか。でも、ラフでも雰囲気が感じられるんで、かえってタチが悪い。この雰囲気のままアナタバッチリ描けるでしょうに、とか思うと見ていてフラストレーションが溜まってくるのです。

最初に24歳の自画像とかあり、結婚はしなかったが30年つきあってたとかいう、アレクサンドル・デュリューのスケッチとかあり、まーでもこのあたりはなんかどうでもよくて、やっぱし次の油彩の「パルクと死の天使」それこそラフで顔も判別せんが、厚塗りで雰囲気もある。いや、いいですよこれ。それからいよいよサロメもの登場。「洗礼者聖ヨハネの斬首」という別に女性がいる感じでもない絵があり、「踊るサロメ」これは下絵っぽいが、これも雰囲気がいい……んだけどよ、これの完成作の写真が小さく出ているのだが、なんだ、すげーじゃねーかよ。下絵でこれを察してくれというつもりなのか、あるいは完成に至る源泉をありがたく見よというのか、いずれにしても完成作が見れないっていう時点でフラストレーションが大いに溜まっちまう。あーそうそう、だいぶ前にBunkamuraだったか、「アンドリューY.S.」展があってだな、あれも下絵&完成作写真の大量展示だった。美術展に罪はないし、下絵集めてくるのだって十分労力はかかっているだろうけどフザケンジャネーヨとしか思わなかった。客はワガママなのだ。まあいいや、「踊るサロメ」は一応それ単体のやつがある。あと目玉作品の一つ「出現」。首が浮いているやつね。背景の線描は最晩年に描き加えたんだって。でもちょっと余計な感じだなあ。あとサロメもの下絵いろいろ(割とどうでもいい)。さすがに下絵ばかりで申し訳ないと思ったか、ここで思い切ってババーンとサービス。「サロメ」油彩、全裸、全身、正面向いている。肌白い。きれい。うひょ~♪ ……いいんだけどね、なんか通俗的でモローらしくねーよ。サービスしすぎじゃねーか(文句が多い客だな)。

サロメ以外の宿命の女たちのコーナー。「トロイアの城壁に立つセレネ」空を背景にしたセレネね、いいですよね。ラフでなけりゃ。これも下絵だって、完成作は行方不明だって。探してくれ。「メッサリーナ」も雰囲気だけ感じられるラフなヤツと、あと、ありがたいことに水彩がある。実はモローは油彩よりも水彩に向いていると思っているんですがね。ラフさと繊細さと色彩が、水彩にぴったり合っている感じ。「死せるオルフェウス」竪琴を弾くイケメンが無惨すぎ。顔ないし。「ヘラクレスとオンファレ」ちゃんと描いてある油彩。でも若描きだそうで、言われてみればそんな感じ。「セイレーン」あーこの夕日がいいですねえ。そして3人のセイレーン。モローは空を使った演出が冴えているよな。「レダ」うむっ、白鳥とキスしてるヤツ。色も深く妖しくキマっている。ヤバさ満点。ナイスな絵ですよ。でももうちょっと顔をちゃんと描いてくれ。いや、雰囲気があるから顔など適当でいいと思っているのか、顔をちゃんと描くとかえって雰囲気が壊れると思っているのか知らないが。やっぱ人間顔だよなあ。「セメレ」なんかこれもラフだなあと思ったら。モロー美術館にある「ユピテルとセメレ」の下絵……というかそれ以前の構想絵じゃないか。映あとの像で「ユピテルとセメレ」が出ていたが、超スゲエ絵だ……現地で見たっけ?(覚えていない) 「エウロペの誘拐」これもちゃんと描いてる。そこそこ。「デイアネイラの誘拐」うーん、水墨画でも見たのか? 「サッフォー」サッフォーが身投げしてるところ。サッフォーはLGBTのLだと思ったら実はBだったらしく。最後は男にフられて身を投げたんだそうです。にしても竜宮城の乙姫様みたいな感じだな。なんか東洋風。

最後は一角獣のコーナー。「一角獣」はさすが代表作的雰囲気。丁寧だしちゃんと描いてある。でも未完らしい。そうは見えないが。次の「一角獣」も乙女とツーショットな。顔は普通。「妖精と具グリフォン」これも水彩があって水彩の方がいい。

いやー会場は小さいし大きな期待はできないが……でも、そんなに悪くないぞ。モローはラフなヤツでもそこそこイケるんで。あと入場料も1000円とお手頃だしな。
https://panasonic.co.jp/ls/museum/exhibition/19/190406/index.html

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