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2019年5月 8日 (水)

クリムト展(東京都美術館)

かつての激混み若冲展で、いつ行っても長蛇の列だったが、GW最終日だけは比較的少なかった。そう、長期連休の最終日は狙い目なのである。なので、行ってきたよ混んでそうだから。そして案の定、入り口で待つこともなく、中もそんな混んでなかった。
しかし、奇妙なことが起きてしまった。なんと、メモを取った出品リストを紛失……っていうか、家の中で行方不明に。なんで? あんな大きなものを? いや、あり得ないでしょう。なぜだ? どこを探してもない。神隠しにでもあったみたいだ。

なもんで、記憶とチラシなどが頼りだ。入ったら、そう、まず修業時代あたりで、そうだ写真があったな。うん、どうでもいい感じ。そして油彩の「ヘレーネ・クリムトの肖像」ええ、なかなかきれいですよ。横向きで普通に描かれています。胸がなかなかあるようですな(そんなところ見てるのかよ)。それから合作で、金属板を……なんだっけ、彫金だっけ、浮き彫りみたいにしたやつが並んでいる。また、学校では思いっきりアカデミックな絵を描いていたりする。そうそう、男性ヌードがあったんだけど、フルチン全開のポーズでは、ありゃあモデルもこっぱずかしいよなあ……って、そんなこと考えてないか。それから習作とか下絵とかが続いて、ティツィアーノを模写したのがあったな。うまいけど模写だからねえ……って、なんかぜんぜんテンションが上がらないんですけど。この調子で大丈夫か? 私生活のコーナーがあって、クリムトは独身だったがなんと子供が14人! ……って、あかんでしょそれ。出しっぱなしじゃないですか。愛人の肖像とかあったかな。でもそんな注目すべきものはなかった。
それからウィーンにもジャポニズムのブームがあったそうで、クリムトも日本美術をヒントに作品を作ったりする。「おんな友達(姉妹達)」が縦長の浮世絵風だ。「赤子(ゆりかご)」は錦絵風の色合いの衣装? 布団? まあそのなかの一番上に赤ちゃんがいる。目立たないが。色合い悪くない。うむ、やっとエンジンがかかってきた感じだぞ。

階を上がって、「分離派」の活動へ。そこで一気に目玉二つ。「ユディトⅠ」と「ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)」、金箔を使った上に、装飾的。「ユディトⅠ」は首を手にして恍惚の表情。怪しく魅せる傑作だ。「ヌーダ・ヴェリタス」は、これも装飾的背景がいい。手に持っているのはペロペロキャンディーじゃなくて鏡だと(キャンディーなんか持たねえよ)。しかしこの2点を見ると、それまでのに比べていかにズガッと画期的かが分かりますなあ。やっぱずげえよクリムト。それから「ベートーヴェン・フリーズ」という部屋の壁一面の35mの巨大壁画作品……の模写。模写なんだけどちゃんと金箔も使っているし、本物と印象はほとんど変わらんだろう。見応えあるじゃん。芸術の神ミューズの衣装がちょっと浮世絵風。それから「分離派展」チラシとかがあり、次は風景だったかな。「アッター湖畔のカンマー城Ⅲ」。印象派風で点描も使っているが、新印象主義の分析的点描のインテリっぽいイヤらしさはないですな。「丘の見える庭の風景」では、独特な花が画面を埋め尽くす。

それからまた階を上がって肖像のコーナー。「オイゲニア・プリマフェージの肖像」衣装がカラフルでありながらクリムト的カラフルさだ。そして最後の円環のコーナーで目玉の一つ「女の三世代」やっぱり注目してしまうのは老婆の裸体ですな。衰えも容赦なく描いてしまっている。手を見ると血管が浮き出ている。そういえば、他の人物画でも、手の血管がうっすら描いてある感じなのだが。なかな写実的なのだ。これでなおかつ装飾的要素を失わないんだからさすがクリムトではないか。よく見ると輪郭がうっすら緑で、これも普通でない印象のポイントって感じ。それから鉛筆の素描みたいなのがあったが、薄くてじぇんじぇん見えない。そんで最後の絵は「家族」。黒い布(服か?)に包まれて、顔だけ見える3人。暗示的。

結構習作や他人作ので薄まっている感はあるが、それでもクリムトの傑作がいくつも見れるってことでは行きでしょう。
https://klimt2019.jp/

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