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2019年6月 1日 (土)

information or inspiration(サントリー美術館)

いつも手堅い日本美術展などをやってるところだが、なんか野心的な企画をやらかした。だいたいタイトルが英語なんだじぇ。タイトルだけ見たって何だか分からない。何か? サブタイトル「右脳と左脳でたのしむ日本の美」いや、まだ分からん。現地に行って分かる。同じ作品(厳密に同じでないものもある)を一つは解説なし&一部デザインオフィスnendoの演出ありで鑑賞。もう一つは詳細な解説付きで鑑賞。つまり一つの美術展に通路が2つできていて、1つを進んで最後まで行って、またもう1つを最初から進む、ってな見方をやるわけだ。前者が右脳コース、後者が左脳コースだ。どっちが先でもいいぜっ。

オレは右脳コースから。出品リストにはタイトルが出ているがここはあえて出さずに書くと、最初のヤツはどこかで売ってるガラス鉢のようですな。次の壷みたいなヤツ……うむ、なんで照明が真っ赤っかなのだ? お、よくできた鶴がいるじゃないか。次は陶器の箱だな。次は……なんじゃこのニワトリは民芸品か? 次の箱みたいなのは模様が付いてて高そうだ。次の箱は……お、きれいですな。螺鈿じゃないですか貝殻のキラキラを使ったヤツね。次は唐草模様の壷か、次の……なにこれ? 入れ物? ……あっ、なんか匂うぞ。香り付きじゃん。次は何だ蚊取り線香入れかな。それから通路を行き、ええと瓶がいっぱい並んでいる。そうかサントリーじゃん。広告か? でも暗いな。次は……ええとこの潰れたみたいな物体は何だ? 次はガラス板に何か描いてあるのが立体的に重なっているからガラスアートだ。次はくもりガラス……向こうに何か青いもんがあるが分からん。次は白い灰皿と何か古そうな入れ物。次は黒い大きな模様付きの物体がある。触っていいってよ。

ここでいったん展示室を出て階段を下りると、なんか一人ずつ傘を持って歩くインスタレーション。傘の影に動画が映る……偏光ガラスの仕組みを使っているらしい。チームラボかと思ったらnendoですって。ハイテクで普通に面白い。

右脳コース後半。ええと横長の和紙の帯だな。その間から掛け軸が見える。おっと鞘絵(刀の鞘の反射で見る古いだまし絵)じゃないか……と思ったら、刀の鞘じゃなくて鏡の円筒だ。いや、茶碗の形だ。すると下に描かれているのは茶碗の模様だ。鞘絵じゃないじゃん……なじぇわざわざこんなことを? おっと大きな箱のパズルがあるぞ。いや、これは知ってる。一つにまとまる弁当箱のお重だ。「お弁当展」で見たんだよ。こいつは半透明プラスチックでできていて本物じゃないぞ。本物はあとで見れるってわけか。器の内側のデカい再現があって首突っ込んで見るのだ。器の模様どっかで見た。次も赤いガラスの……アート? モビールじゃない。少なくとも昔のものじゃないよなあ。最後はなんだこりゃ。器の影らしいが何の意味があるのだ? ……ここで終了。はい、何だかサッパリ分かりませんねえ。どれも美術品だけど器とかの実用品でもあるので、解説不要の鑑賞を前提に作られた現代アートともちょっと違うよなあ。右脳鑑賞といっても、ここはやっぱある程度解説がないと。昔使ったこぎれいな何かである、以上の何でもない感じですなあ。

そんなわけで、最初に戻って左脳コースだお。これが解説ありなんだけど、えれえ情報量が多い。勉強好きなアートヲタには嬉しいであろう。オレは別にほどほどでイイよ。最初のガラス鉢は「切子 蓋付き三段重」というもの。手作りの切り子だぞ。工場製品じゃないんだぞ。切り子のプロセスも絵で解説。すげえ。次の照明が赤かったヤツは「朱漆塗瓶子」普通に器が赤いんじゃねーかよけいな演出しやがって。次の鶴だとか言ってたのが「色絵鶴香合」という香入れだ。次のは箱じゃなくて炭を入れて香を炊く……もとい焚くもの。民芸品ニワトリだと思ったら香炉ですって。螺鈿のヤツは香を焚ける枕。唐草模様は仁清の香炉。次の結構香る器も香炉で、亀甲模様を使っているんだって。サントリーの瓶だと思ったら「藍色徳利」藍色なんだぜ。次は「赤楽茶碗 銘 熟柿」普通の赤い茶碗じゃん。右脳コースにあった意味不明の潰れたやつは熟れた柿だったらしい。ガラス板アートだったのは、光悦と宗達の掛け軸……の描画要素を層状に分解したもの。くもりガラスの向こうの青いのは「藍色ちろり」という藍色ガラスの急須(だよな)。白い灰皿と一緒にあった入れ物は「菊蒔絵煙草盆」つまり江戸時代の喫煙セットだ。灰皿は現代のだな。次の右脳で黒いデカい物体だったものは、元になっている模様が「薩摩切子 紅色被皿」のもので、こっちは赤い模様の切子。なんだきれいじゃねーか。

再び階段へ……ありゃ、インスタレーション人が増えている。並んでいるじゃん。二回目やろうと思ったが断念。

左脳コース後半。和紙の間から見えた掛け軸は光悦&宗達の「蓮下絵百人一首和歌断簡」西行と寂尊の和歌が書かれている。解説にゃなんと、百人一首の百種全部が出ている。そう、解説がもうこれでもかってぐらい豊富にあるんだぜ。気合い入りまくりですな。右脳コースの鞘絵みてーなのは尾形乾山の茶碗。模様のために円筒形に作ったんだって。次の箱も乾山の蓋物。弁当箱は「御所車桜蒔絵提重」いや、これはきれいですよ。機能的にして美しい。ガラスアートだったのは「薩摩切子 紅色被三段重」ガラス器の三段重ね。赤い模様がなかなかきれいどころ。最後も「薩摩切子 藍色被船形鉢」藍色だが、光に映し出すことでコウモリの模様が出る。右脳コースで見たのはそのコウモリなのだ。

右脳左脳各コースの違いが面白い。右脳コースのnendoの演出でちょっと余計に感じるところもあるんだけど、インスタレーションも面白いからまあいいです。ナイスチャレンジ。
https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2019_2/index.html

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