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2019年6月10日 (月)

ウィーン・モダン(国立新美術館)

サブタイトル「クリムト、シーレ 世紀末への道」。ボリュームが多いというウワサはあったがマジ多い。まともに全部味わって消化しようなんてしたら三時間はかかるでしょうなあ。オレは適当に端折ったりしたが、それでも1時間40分ぐらいか。日曜朝一に行ったら出だしのところは激混みだったもんで、途中から見始めて、あとで残りを見るようにした。結果的に途中からでも差し支えはない。ましてクリムトやシーレなど世紀末がお目当てなら始めからキバっちゃうと、シーレなんか終盤近いんでバテるぞ。

ウィーン世紀末に至る近代の美術工芸建築。ほとんど博物館みたいなもんで、一応順番通りに書くか。最初はまだ世紀末じゃなくて「啓蒙主義時代のウィーン」ハプスブルグの首都だったそうで、おおマリア・テレジアの肖像。行きてえなあシェーンブルン宮殿。フリーメイソンがいたとかなんとかで、ロッジ内の様子の絵がある。別に怪しい感じではないが。あと人形があったな。陶製の。あの、マイセンでしたっけ。あんな感じのもの。

それから「ビーダーマイアー時代のウィーン」だって。何かって言うと「小市民」って意味だそうです。人の名前かと思った。「絵画時計」というものがあって、絵の中に時計があるんだけど、時計が本物ってやつ。普通に面白い。工芸品では銀の器とかが出ている。シンプルモダンな感じ。この頃にシューベルトがいたそうで、シューベルトの夜会の絵とかあったりする。この頃の絵画も小市民的に私的な感じの風俗画とかが多かったそうで、別に面白くもないんだけど、美術的に再評価はされてるんだと。フリードリヒ・フォン・アメリング「3つの最も嬉しいもの」男と女と、光と影みたいな(?)絵。その3つが何かは気にしてなかった。フェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミュラーの風俗画とか。うん普通だ。覚えてもいねえ。ルドルフ・フォン・アルトの都市景観画とか。うん、あんまり見てない。都市景観画は、昔の雰囲気はいいとして都市景観以上のもんでもないしな。

「リンク通りとウィーン」えー、朝一で来て、見始めたのはここから。映像があって、ウィーンの近代化はこのリング通りを中心に近代建築が作られ始めて始まった。だから結果的にここからの鑑賞でも特に問題なかろうし、エンジンがかかってくるのもここからだ。建物の絵とかはそれなりに流して見るとして、ここでクリムト1枚「旧ブルク劇場の観客席」劇場内の様子。なんとなく「金色な感じ」がしてへへえさすがクリムトとか思ったりする。観客が一人一人、ちゃんと個性的に描いてあるぞ。やるな。ハンス・マカルト「真夏の夜の夢」額縁の中に額縁の絵があって、その中に幻想的な絵。あー、これ緞帳のたの習作か。エドゥアルト・レビーツキー「真実、英知、美(国会議事堂柱廊玄関モザイクフリーズのための習作)」習作ったってちゃんと描いてあるよ。アングルの裸女みたいなのが。要は新古典っぽい。「『画家のプリンス』ハンス・マカルト」のコーナー。クリムトなど分離派に影響を与えたそうだ。「ドーラ・フルニエ=ガビロン」の赤い背景の女性像や、「メッサリナの役に扮する女優シャーロット・ヴォルター」の都市の夜景が背景なんてのを見ると、クリムトの装飾的な絵画につながる気もしないでもない。それから1873年のウィーン万博の写真、日本館とか。

「1900年-世紀末のウィーン」のコーナー。建築家のオットー・ヴァーグナー特集。「美術アカデミー記念ホール」の模型すげえ。この装飾。上の部分なんてこれ王冠かよ。「聖レオポルト教会」の内部の絵画があるが、これもなんかすげえな。建物内に金ぴかドームがあるんだな。集合住宅もやっていて、「大都市」の模型がある。箱がひたすら並んでてモダーンだな。デカい模型だ。えーそれからクリムトの初期作品がいろいろ。寓意画だって。「寓話『アレゴリーとエンブレム』のための原画 No.74」裸女がおる……なんか街のポスターなんかで、女性を性的な目線で描いたイラストがムカつくぅとかいう意見があったりするんだけど、これだって思いっきり性的じゃん。いや、別に街のポスターじゃないですけどね。こないだ、そう、ギュスターブ・モロー見たけど、あれもこういう性的な目線で女性を描いてて、でも解説とかには、こういう(性的にも)こだわりの美女連発の際の面白い単語があって「ファム・ファタル(運命の女性)」って書いてあるんだ。「エロ女 数をこなせば ファム・ファタル」いかん五七五にしてしまった。ええと展示はウィーン分離派の話になり、第一会分離派展のポスターがありクリムトの有名な絵画「パラス・アテナ」がある。これ何度か見たけど、オレはあんまり好みじゃないんだよなあ。なんか暗いし。甲冑だし。それからクリムトの素描だお。素描イパーイ。中には糸ミミズが這ってるだけみたいなマニアック(クリムト通向け)なのもある。

それから分離派の……ところでここは全体のどのあたりなのだ? 全体が長方形のフロアなのは分かっているが、通路があちこち曲がっていて、今どのくらい進んでいてどのあたりかサッパリ分からない。こんなの初めてだな。まあいいや。ウィーン分離派の画家達。マクリミリアン・クルツヴァイル「黄色いドレスの女性(画家の妻)」シンメトリーにキメている。カール・モル「書き物机に向かう画家の妻アンナ・モル」逆行でキメている。ええと、おや、抽象画がある、と思いきやヴィルヘルム・ベルナツィク「炎」全体が青い色の画面で、色彩よし。こりゃいい絵ですな。抽象画モードでも鑑賞できる。ヴィルヘルム・リスト「白と黒の絵画」といっても女性像。日本の近代画みたいな感じ。おっと通路が分かれている。右へ行くとドレスの再現コーナー……休憩室じゃん。じゃあここは中盤ちょっと過ぎたとこじゃないか。まだ先が長いそ。再現ドレスは適当に見て(悪くはないが)、ウィーン分離派のグラフィック。分離派展のポスターとか。それからエミーリエ・ブレーゲとクリムト……いかん、どういう関係かチェックしてません。とにかく目玉の一つエミーリエ・ブレーゲの肖像がある。この絵だけ撮影可能。なじぇポスターになってるヤツをわざわざ撮影可能にするかね。あいかわらずうっせーなシャッター音が。まあ今回はこの1枚ですからね。ガマンしますよ。オレは単眼鏡を使っているが、ドレスの柄を拡大すると面白いぞ。インスタ蠅どもには分かるまい……なに? 解像度はかなりある? じゃあ拡大して見てみよう。あとはなんか、ドレスとかあったよ。それからウィーン工房の椅子とか、花瓶とか、ガチャガチャしたものいろいろ……いかんこの辺ぜんぜん覚えてないぞ。グラフィックのコーナーになり、コロマン・モーザーの「千羽のオオガラス」おっと、これエッシャーの隙間無いデザインに似てるじゃん。エッシャー以外にもやる人がいたんだ。

やっとエゴン・シーレが登場。「自画像」がいかにもシーレらしいがちょっと小さい絵だな。「ひまわり」も定番というか、これぞというか。この2つのインパクトが大きいもので、あとの油彩は普通に見える。「イーダ・レスラーの肖像」なんて普通の描き方だしな。それからシーレの素描がまたずらっと並ぶが、この辺で結構皆さん疲れているようで、素通りも多い。実はここ素通りはもったいない。「少女裸像(ゲルトルーデ)」はなんともいいシーレだし、「ひざまずく裸婦」「男性裸像」の特徴ある水彩も見逃せませんねえ。あと「マリア・シュタイナーの肖像」からペン画みたいなものなるが普通にうまい。油彩もそうだが尖ってなくて普通にも描けるんだよな。それから表現主義になるが、ココシュカがシーレに負けずにがんばる。特に「『殺人者、女達の欲望』のポスター」このちょっとグロいインパクトはやってくれるじゃねーか。この時代、こんなのも描いておったのだ。ココシュカは版画のような作品も出ている。あとは何かあって建築模型があって終わり。

しかし、あのスペースにずいぶん詰め込めるものだと思う次第である。迷うことはないがまるで迷路みたいに通路が折れ進んで行くのも何となく楽しからずや。全部をじっくり見たければ時間は十分確保して行こう。
https://artexhibition.jp/wienmodern2019/

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