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2020年6月28日 (日)

Chim↑Pom展(ANOMALY)

このギャラリーに来るのは二度目なのだが、前回も同グループの展示であった。このグループはいろいろ物議を醸すが、なんだかんだで今や世界的に活躍しているようだ。今回2つ出ていたプロジェクトのうち1つは完全に海外が舞台で、動画も英語ベースで作っている。表現の軸足を海外にしているのは、我が尊敬する折元立身もそうであって、まー日本の現代アート市場はあかんからねー 文化に金出すの嫌がるヤツラも多いしねー 知らんけど。


「May, 2020, Tokyo」というプロジェクト。何か? コロナで非常事態宣言中の5月2週間ほど、感光する青焼き液を塗ったデカいパネルを、東京の様々な場所に設置して、外光および風雨にさらすなどして、そこの環境における変化を焼き付けたもの。そのパネルと、設置風景の写真や映像を合わせて展示している。街が異常事態になっている間の時間を焼き付けたのだ。パネルには「TOKYO 2020」とか「新しい生活様式」という文字が雑に書かれている。作品そのものはどうということはないが、コロナ禍の背景と合わせて鑑賞していると、なかなかしみじみするものがある。写真を見ると、おなじみ高収入のバ~ニラの広告の隣に設置してたり。そう「三密」の最たる夜の接客業。働いている人のダメージは大きい。その勤め先紹介サイト(だよな。見たことないけど)の広告。その隣に「TOKYO 2020」。おお、なんということだ。あるいはシャッターの降りた飲み屋街に「新しい生活様式」。皮肉か、風刺か、ただのお遊びか、君はそこに何を見る? 私は意外にもある種の切なさを感じた次第である。政治家達がいくら「TOKYO 2020」だの「新しい生活様式」だのぶち上げたところで、コロナ禍の前には、せいぜいこのパネルみたいなもの。苦しい現場、苦しい毎日を前にしては、外におっぽり出すぐらいしかないスローガンだ。あるいは、この打ち捨てられたのが、他ならぬ自分達かもしれない。折しも今、都知事選前で、コロナは無事抑えてますみたいに調子こいている小池を前に東京はこの状態、というのもリアルに感じられる。小池は三密を理由に街頭演説もやらんのだが、要はなるべく盛り上げない方が四年間の不手際のつるし上げを食らわず再選できると踏んだのであろう。姑息だねえ。汚いねえ。でもこれが王者のやり方なんだよな。王者は勝たなきゃいかん戦にゃ手段を問わない。勝てるなら正々堂々なんてやらんのだよ。美しく勝とうとするのは小者だけで、だいたい負けるんだな野党みたいに。話がそれたが、そういえば、この手の作品でよくある定点撮影で変化を記録した動画、がなかった。これは意外だと思うと同時に、アーティストが見せたい物が「変化の課程」ではないということで、これは結構重要なポイントだと思うぞ。


それからもう一つのプロジェクト、「A Drunk Pandemic」。イギリスのマンチェスターでコロナじゃなかったコレラ犠牲者を埋葬した場所(駅地下の廃坑トンネル)でビールを醸造する。ビールの名前「「A Drop of Pandemic」。なぜにビールか? 当時をして一旦煮沸して作るので、水より安全と言われたそうだ。パンデミックがテーマなので、今年のプロジェクトかと思ったら違うんだ。去年の、つまりコロナ前なのである。なんというタイムリーな。つまりプロジェクト後に、世界中が本当のパンデミックに襲われたのである。アーティストの先見性というか、直感の鋭さというか、そういうものがあるのかもしれない。ビールと同時に、なぜか尿を固めて建材みたいなブロックを作っている……というか建材として使ったそうです。「C↑P」のロゴ(?)入りで。それが積まれて展示されている。別に臭いはしないが。あと、流れる下水を映した映像とか、いや、このグループは結構バッチイもの好きなんだよなあ。ゴミとか。初期の渋谷のネズミをとっつかまえてピカチュウ風の剥製にする、からずっとそうですな。いや、私は最初尿でビールでも作ってるのかと思った。色似てるし。さすがにそうじゃないよな。
この醸造所紹介ツアーの動画が流されている。英語で日本語字幕。コレラで最初に犠牲となった女性の肖像がイメージとして使われている。なかなか怖いぞ。他にも動画があって、「PUB PANDEMIC」でみんなで乾杯している様子。今ならさしずめ「密」ですな。ああいうのは当分なさそうだ。このビールは実際会場で飲めるのかな。一応瓶が置いてあったが、誰か飲んでたって様子はないが。


常に時代のできごとに反応し、世界的に通用するコンセプトを持った作品を打ち出せる。たまには世間のヒンシュクも買うが、今後も目を離せないグループだぞ。
http://anomalytokyo.com/exhibition/may-2020-tokyo-a-drunk-pandemic/

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