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2020年7月 5日 (日)

「鴻池朋子 ちゅうがえり」(アーティゾン美術館)

元祖けものフレンズ。いや何でもない。それにしてもこの美術館に行くのは2回目なんだけど、前回はもちろんコロナってなかったんで、こんな常に予約制でいいのかねと思ったんだが、こうしてウィズコロナの時代になると、こっちの方が標準になりそうだ。システムを自分のところで作り込んでいるので、余分な金がかからない。某近代美術館みたいにチケットぴあに丸投げで手数料300円とかだと、ビンボー人は泣けてくるぜっ。それでなくてもここはにゃんと1100円とリーズナブル。この鴻池だけでなく「宇宙の卵」という企画と常設展とパウル・クレーの小特集がついてくる。

いやー鴻池も昔は中目黒のギャラリーとかでやってたけど、今や大規模インスタレーション上等の魅せるアーティストの一人になりましたなあ。前にオペラシティでもやってたよな。6階フロアがガッツリ鴻池ワールドになっている。一応「セッション」らしいんでコレクションのクールベさんの絵とかあったりするけど、まあ特別ゲストみたいなもんかな。

入ったところに「竜巻」という竜巻風のヴィジュアルを集めたパネルっぽい作品……リトグラフか。まあ竜巻はあとでも出てくるけど、魅力的題材ですよねえ。パワフルにして暴力的で回転運動で形も美しい。見てるとワクワクしますねえ。自分ちに来るのは嫌だけど。えーそれから、鉛筆で描いた幻想絵画がいくつも並ぶ。「みみお」はちょっと好みじゃないキャラなんだが、あとはさすが、いいですな。地球断面図と称する円形のイメージとか、ジオラマと称する本にいろいろ乗ってるのとか、あと落雷のイメージもあったよな。あれも暴力的にして美しいけど、自分ちに落ちるのは嫌です。

鉛筆画コーナーが終わって、毛皮がたくさんぶら下がっているインスタレーション。その間に作品がチラホラ。毛皮ったって、毛皮のコートじゃねえど。服なんぞに加工してない「動物の毛皮」そのものだ。ここがポイントですな。服などの加工品の素材として見ているわけではなくて、あくまで野生動物に結びついたものとして見ている。あとで映像作品が出てくるが、ここんところのこだわりは大きい。それから無数のビニールひもがぶら下がっているようなところを通る。こりゃもう体験型ですな。

さらに体験型が続く。骨が……いや角だったかな、それが振り子になっているインスタレーションを横目に、緩いスロープを上っていくと、会場内が見渡せる、その先はなんと「滑り台」だぞ。美術展で滑り台ですかい。楽しいねえ。降りたところは襖絵に囲まれたところだ。この襖絵がなかなか力作で、先と同じ竜巻もある。こっちの方がリアル。カッコイイ。あと地球断面図もあるぞ。それから落雷が使われている壁画があり、その後ろには影絵のメリーゴーランドがある。下からのライトで影絵にするっていいですな。小さいものでも大きく拡大表示できるんだ。

それからクールベさんの鹿の絵があったり、キラキラの小さい山があったり、狼の毛皮の絵があったり、毛皮が木枠に閉じこめられているのがあったり、スナップ写真とか文章のコーナー(読んでない)、「皮トンビ」というでかい変な形状のパネル絵……えっ、これ牛皮なの? 知らなかった。スロープの下の空間に小粋なインスタレーションいくつか。絵がいくつもあったが、何しろインスタレーションが派手なもので、絵の印象があまり残ってない……いや、そういうことでは、いかんのだが。そういえば振り子のところにある「湖ジオラマ」思わずウォッと呻いちゃう。なんでだかは行って見よ。

メイン会場から繋がった部屋に、まだいろいろある。人から話を聞いてそれを絵にして、その人に作ってもらう、だったかな。そういうの。あと映像作品があって、本人(だよね)出演。だいたいは自然の中にいるもの。雪に埋まってドラえもんの歌うとか、ラップランドで遠吠えするとか、雪の中で毛皮かぶって舟引いて歩いてるとか。野生動物へのリスペクト満載。雪景色でドローン使った撮影しているな。最近はこうして鳥瞰が簡単に撮れるんで凄いもんですな。室内で野生動物の声をやるのでふと思い出したのが、歌がそもそも仲間を呼ぶ時の合図で、すごーくプリミティブ(原初的)な行為なんだけど、鴻池はさらなるプリミティブで動物のレベルまで迫っているのだなあと。

んで、ここで他の人がまず書かないことを書きましょうかね。雪に埋まってドラえもんの歌を歌う「ドラえもんの歌 on 森吉山」でね、「♪空を自由に飛びたいな」のあとに「はい、タケコプター」と言わず、「♪あんあんあ~ん、とっても大好きドラえ~もん」と歌だけが続く。なぜか? ふーんそんなもんか、で通り過ぎてもいいんだけど、意外とここにこだわりがあるかもしれんのよ。①ドラえもんがここにいては困ること。つまり、なんだかんだ未来文明のロボットなので。自分は野生の環境にいることを訴えているのであって、いくら渇望していたからといって、道具を出しに出てこられても困る。だからセリフはない。②セリフは歌よりもプリミティブでないこと。セリフでやっちゃうと、歌というプリミティブな要素が抜け落ちて、単に言葉による情報提供になってしまう。つまり、より文明人に近づいてしまうのだ。この場合、それではいかんということが君にもわかるであろう。だから、ここには歌しかないのだ。

そんなわけでインスタレーションいっぱいでエンジョイできるぞ。
http://www.artizon.museum/collection-museum/exhibition/detail/2

えーと同時開催の「宇宙の卵」これは、「第58回、ヴェネツィア・ビエンナーレ」の日本館展示室で出した大規模インスタレーションの90%サイズ再現。あと、これの実現のための資料情報いっぱい。見ていくときりがないし、鴻池展で消耗してしまったので、なんとなくインスタレーション内でボケーとしているだけであった。エアクッション(?)に座れるし。

常設展はおなじみの連中に加え、パウル・クレーを新たに増やすことができたそうで、ドヤ顔で展示。いや、なかなかまとまってますよ。

ボリューム満点だ。全部を余すところなく楽しむには時間と体力が要るぞっ。
http://www.artizon.museum/collection-museum/exhibition

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